人に受けるコンテンツと言うのは、ある程度わかっていると思っていた。昔、出版社の人に、雑誌の売れ行きが悪い時はダイエット特集を行うと、また売れると聞いたことがある。また時期や環境によっても、これは変わる。今で言えばコロナウィルス関係の記事は受ける可能性が高いだろう。つまり、ある程度、受けるコンテンツは、多くのコンテンツクリエイターにとって、経験的に知られていると思っていた。
しかし、今朝読んだ記事は、別のコンテンツの可能性を紹介していた。それはニューヨークタイムスのTikTokで人気人気になっているコンテンツの記事だった。
TikTokの人気コンテンツと言えば、ダンスや歌が中心だ。しかし、1億回以上の再生回数を記録したのはプールのクリーニングの動画だ。プールの掃除をする人が、日常のプール掃除の動画を投稿して、1,100万人ものフォロワーを獲得している。彼は、「クリンフルエンサー」と言うカテゴリーに含まれる投稿者だ。もちろん、「クリンフルエンサー」は、クリーニングとインフルエンサーの合成語だ。
様々なものを掃除をする作業の紹介ビデオが、TikTokにはたくさん投稿されていると言うことだ。カーペットの汚れを落としたり、歩道を洗浄したりとと言う動画が人気を集めており、そのような動画を投稿する人を「クリンフルエンサー」と言うらしい。
人気の秘密は、単純に掃除のコツを知りたいと言う機能的な目的を持つ人もいる一方、それ以外の目的で見る人もいるといことだ。
ロンドンの大学の学者によれば、掃除の動画には、最初と最後の違いについての、明確のインパクトがあり、それが動画の魅力になっていると言う。それが、人を惹きつけると言うのである。同様の例としてフィットネスの、ビフォー・アフターの動画をあげている。
さらに、この学者が言っているのは、プールのクリーニングの動画は、見る人の心を落ちつかせて、惹きつける効果があると言う。それは汚いプールがきれいに生まれ変わるのを見て、満足感と達成感を感じるからだと言う。それが、動画の魅力になっていると言うのだ。
別のシェナンド大学の教授によれば、少し大げさかと思うが、お掃除動画の魅力は人類の進化に関係があると言う。人類は、何十万年にわたって、人が手が動かすのを見て、スキルを習得をしてきた。そのようなメカニズムが、脳に組み込まれているので、人が体を動かすのを見る事は、脳のその部分が刺激されて、目を離すことができなくなると言う。このようなことは、以前は信じなかった。物質としての人間は、新しい物質から生まれてくるので、過去の行動が、新しい個人に影響を与えると言うことは、あり得ないと思っていた。この考えが変わったのは、ユバリ・ノア・ハラリの一連の著作を読んだからだ。我々の行動や思考、反応は、狩猟時代に通じると信じることで説明できると思うようになった。だから、この手作業をみることに惹きつけると言う説もある程度、同意できる。
同じ教授によれば、プール掃除のビデオは、自律感覚経路反応を起こすビデオの音声に似ていると言う。自律感覚経路反応とは、人のささやきを聞いたり、紙やプラスティックの包装にシワが寄ったりするようなある種の出来事に反応して、脳がうずくような感覚のことだそうだ。このような反応を引き起こす、画像や音声を含むビデオが、ドーパミンやオキシトシンを含む脳の部分を活性化させると言う研究結果が発表されている。
この部分は確かに同意できる。プールの掃除に使うような薬剤を混ぜるような音が出る動画が見ていて、私も心地よく感じた。映っている内容は単に薬剤が混ぜられているだけなのだが、その音が非常に心地よく感じられたのだ。なぜか、不思議な感じがした。
このプールクリーニングの動画が人気を集めると言うことを知って、コンテンツの可能性は、ダイエットだけではなく様々な可能性があると言うことを考えさせられた。