TikTokは今週、TikTok Shoppingと言う企業向けのイベントを開催した。このイベントは、TikTokが用意している企業向けの販売のツールや機能を紹介するイベントだった。それらは、販売できる店舗機能、購買ができる商品にタグをつける機能、ライブショッピングイベントの開催等の説明だ。すでに多くの企業がこれらの機能を利用している。またウォルマートとTikTokが組んで、ライブショッピングのイベントを実施し、今後これをさらに拡大していく方針と言うことだ。
InstagramやYouTubeなどのソーシャルメディアの先行者は、すでに初期の機能を超えて、広告やショッピングのプラットフォームの色彩が強くなっている。これは当然、広告を収入源としているので、様々な広告のバリエーションを取り入れていくのは当然のことだ。問題は、それがどの程度かと言うことだ。広告や企業に関連するものが増えてしまえば、そのプラットフォームは魅力を失うので、ブランドイメージを失わずに、適度な収益を上げられる広告や商品紹介があると言うのが望ましい形なのだろう。
しかしTikTokは、商品の販売がすでに自然に行われているようだ。そこで、TikTokも、すでに進化しているTikTok上の経済活動の一部を狙って今回のイベントを開催している。
すでに商品の紹介はTikTokに溢れている。多くの投稿者が商品紹介を行い、それによって実際に購入がされている。アマゾンは# TikTokMadeMeBuyItと名付けた、TikTokで紹介された商品を集めるページを追加した。この#をつけた動画の再生回数は合計で46億回を超えていると言う。
TikTokの月間アクティブユーザー10億人が、TikTokの中を回遊して、見つけた商品を実際に買っている。しかも多くの場合、この商品紹介は投稿者が実際に買ったものを紹介しているだけで、企業の広告であったり、ステマの1種であると言う事はないと多くの関係者が指摘している。
今回のTikTokのイベントは、既にできて上がりつつあるTikTok経済圏が、TikTokの手の届かないところで成立するのではなく、自ら、収益を上げる仕組みに変えていこうとする試みの1つである。
これは珍しいことではなく、すでに他のソーシャルメディアを行っている。例えばYouTubeは言うYouTuberのマーケティングのルールを明確にして、彼らが商品を直接販売することを可能にしている。FacebookやInstagramでもプラットフォーム内から販売でできる仕組みを取り入れた。
ソーシャルメディアは、どこも販売の機能を取り入れる。しかし最終的にはそのプラットフォームのブランドイメージに限界があり、販売される商品はブランドイメージに縛られている。Instagramは化粧品、ファッション、アクセサリーに強いだろうし、YouTubeと言えばガジェット系が多くなるだろう。その点で言えばTikTokでは、掃除動画が人気があるように、掃除用の日常品から、様々なものが対象になるイメージがある。しかし化粧品は可能でも、ハイファッションまではどうだろうか。
カテゴリーはともかく、TikTokが目指しているのは、ウォルマートとの実験のように、様々なものをプラットフォームの中で売る販売店のような姿をイメージしているのではないだろうか。デジタル経済の中で、強い力を持つソーシャルメディアは、クッキー廃止で広告が不透明な中、販売の中核になろうとする努力は続く。