MLB 選手会がインフルエンサーマーケティング会社と契約

by Shogo

アメリカ大リーグ(MLB) 選手会が、インフルエンサーマーケティングの会社と契約したことを発表した。選手個人のコンテンツを作成したり、ファンとのエンゲージメントのレベルを調べることを開始するようだ。選手個人は、自分の魅力を発信し、ファンとのエンゲージメントを高めることにより、広告契約など広告主とのビジネスにつながると期待しているという。

今年のMLBは、選手会との労働協約が終了しているため、新たな交渉を12月から断続的に行っている。そのため現時点では、ロックアウトが行われており、春季キャンプも行われていない。このままいくと、シーズンが予定通りに始まらない可能性も出てきている。

以前からMLBは視聴率の低下に悩み、若いファンの減少が続いている。大谷翔平の人気に救われているところもあるが、全体的な傾向は変わらない。このため若いファンを惹きつけるために、YouTubeでのコンテンツ配信を開始したりTwitchを利用したりし始めた。またTikTok投稿者を集めて、イベントを行い、TikTok投稿者にMLBについて、もっと発信するように期待していると言う。

アメリカでは、他のメジャーなスポーツに比べて、野球ファンは高齢者に偏っている。NBAのファンの平均年齢は42歳だが、MLBファンの平均年齢は57歳と圧倒的に高い。理由は様々考えられるが、最大のものは試合時間の長さだ。2021年の9イニングの平均試合時間は3時間10分で、歴史上最も長くなった。試合時間短縮のために様々な取り組みをされてきたが、根本的な解決にはなっていない。まだ考えられるとすると9イニングを止めるかどうかだが、これは伝統を考えると難しいだろう

ファンの高齢化が進むとテレビ放送やスポンサーの獲得が難しくなってくる。特にMLBではスポンサーからの収入が10%程度と言われているので大きな問題だ。そこで、MLB選手会がインフルエンサーマーケティング会社と組んで、選手の魅力を高め、MLBの人気を盛り上げるために動いたと言う事のようだ。

日本のプロ野球選手会は、親睦団体からスタートして、今は労働組合の側面とプロ野球全体を盛り上げるための団体の側面を持っている。ファンとのコミュニケーションや社会貢献など積極的に行っているが、営利的な目的は持っていない。一方、MLB選手会は完全な労働組合だが、同時にMLBプレイヤーズインク(MLBPI)と言う子会社を持ち、営利団体でもある。MLBプレイヤーズインクは、選手のパブリシティー権(氏名、肖像、愛称)を利用した商品・サービスの契約を行っている。選手個人の契約は、個々の選手のエージェントが行うが、2人以上の選手が登場する場合には、MLBプレイヤーズインクが契約を行う。すでに現時点で100社以上あるパートナー企業と契約をしているとウェブには書かれている。

MLBの人気の低迷は、当然MLB全体の放送権料、スポンサーシップ料の収入の低下となり、結果的には選手の報酬の低下につながる。このために、MLBの人気を高めるために、選手個人の市場価値を高め、同時にMLBの人気を盛り上げるために、MLB選手会が、インフルエンサーマーケティングを開始すると言う事のようだ。現時点ではInfluentialと言う会社と契約をしたと言う発表だけなので、具体的な活動はよくわかりまだわからないが、多分1200人いる選手会メンバーの、個々のSNSの発信を助けたり、フォロワーやエンゲージメントの分析を行うところから開始するのだろう。

しかしそれはさておき、労働協約が妥結に至らなければ、3月31日に予定されている開幕も遅れる可能性がある。これは、どうなるのだろう。今年の大谷翔平の活躍にも影響するので心配だ。

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