Apple TV+は2021年に2%程度シェアを伸ばしたと言われている。しかし、NetflixやHBO Maxのような競合からは大きく水をあけられている。
2021年末の段階で、アメリカとカナダのApple TV+の契約者数は2,000万人程度とAppleが発表している。これに加えてApple製品の購入者への無料アカウントが、全世界で4,000万人程度あるようだ。ただしこれは3カ月間の無料お試しなので、全てがそのまま継続をしない。私のように、現時点では本契約に進まないと考えている人が多いはずだ。
その理由は、やはりコンテンツの質と量だ。Ted Lassoのような人気番組も生まれ、それなりに、注目が集まっているが、まだまだ映像配信サービスとしては弱小だ。
そこで、コンテンツとしてApple TV+が力を入れ始めたのは、スポーツの分野。1つはメジャーリーグベースボール(MLB)だ。今週、MLB との契約を発表した。
MLBは2022年シーズンは、まだいつ開幕されるか決まっていないが、開幕され次第、Apple TV+で試合が独占で放送される。まず「Friday Night Baseball」は、金曜日に行われるダブルヘッダーを、試合の前と後の解説やハイライトの番組を含めて放送する。この「Friday Night Baseball」は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジル、日本、メキシコ、プエルトリコ、韓国、イギリスで提供される。さらにアメリカ国内の契約者に対しては「MLB Big Inning」がある。ハイライトの番組でシーズン中の試合日に放送される。またアメリカとカナダの契約者に対しては、「24/7 Live Stream」が利用可能になる。これは、試合のハイライトや過去の名勝負、試合分析などのサイトだ。
「Friday Night Baseball」 は、アメリカ国内でも自分の居住地以外の試合を金曜日に見たいファンにとって意味のあるコンテンツとなる。ただし、それはかなりの野球ファンで、一般的には居住地の地元チームの試合をテレビで見てしまうだろう。
日本では、金曜日のダブルヘッダーは、土曜日に見られることもあり大きな意味を持つ。ただし、NHK BSとの関係がどうなっているかもう少し調べてみないとわからない。今回、Apple TV+が獲得した「Friday Night Baseball」は、昨年まで、ESPNの権利だった。これを、ESPNが諦めたことになる。日本が含まれている以上、金曜日の試合については、NHKを除外したのかもしれない。
さらに、Apple TV+が現在、交渉を行っていると言われるのがNFLの権利だ。アメリカでスポーツと言えば、バスケットボール、アメリカンフットボール。野球、ホッケーとの4大スポーツとなるが、その中でもNFLの重要性は最も高い。現在NFLが、売ろうとしているのは3つの権利である。まずNFL Mediaへの資本参加、日曜日の本拠地外での試合を放送する権利の「NFL Sunday Ticket」、携帯端末での試合のライブストリーミング権。Apple TV+は、この3つの権利をまとめて獲得しようと交渉していると言われる。
「NFL Sunday Ticket」は日曜日に放送ができることになりライブストリーミングでも有力なコンテンツだ。だが、それ以上に可能性があるのはNFL Mediaへの資本参加だ。最大49%の資本参加が可能で、資本参加することによりNFLMedia傘下のNFL Network、NFLRed Zone、NFL.com等の資産を活用して、様々なライブコンテンツを制作することが可能になる。これは現在スポーツコンテンツの少ないApple TV+にとって非常にメリットがある。当然この権利についてはAmazonなども交渉を進めているために、確実にApple TV+が獲得できるとは限らない。これについては今後の報道待ちたいと思う。