大阪なおみが、メディア会社を立ち上げるようだ。会社の名前は、日本語の花熊の音をそのままアルファベットにした「Hana Kuma」。制作するコンテンツは、台本のあるテレビシリーズ、台本なしのもの、ドキュメンタリー、アニメ、スポンサーのついているブランディッド・コンテンツだと言う。ここで言う台本なしのテレビシリーズは、一般的に言うリアリティーショーのようなものなのかどうなのかよくわからない。
メディア会社と言う表記がされていたが、伝達・流通手段としてのメディアを所有するのではなく、コンテンツ制作会社のように思われる。実際にメディアを所有しようと考えれば、簡単なのは、YouTubeにHana Kumaチャンネルを作ればいいだけなので難しい事でも何でもない。実際そのような計画もあるのかもしれない.
既に動いているプロジェクトとして、2つ例が挙げられていた。1つはNYタイムズのためのドキュメンタリー映像作品で、有色人種の白人として初めて下院議員になった女性ついての作品。もう一つは、Amazonの所有するケーブルチャンネル向けのドキュメンタリー作品だそうだ。まだ会社の名前が決まっただけの段階で、ニューヨークタイムスやAmazonにコンテンツが売れると言うのは大阪なおみブランドだ。
この最初の2つのプロジェクトを見る限り、他のメディアやチャネルにコンテンツを供給していく制作会社だ。記事によると、このHana Kumaを実際に動かしているのはSpring Hillと言う会社だ。 先日10億ドルクラブ入りしたレブロン・ジェームスが出資する会社で、エンターテイメント・マーケティング・コンテンツ制作を行う会社である。この会社が、実際のHana Kumaの実態と言えそうだ。
記事の中のインタビューでは、大坂なおみは、自分が登場するコンテンツはあるかないか今のところわからないと答えている。Hana Kumaがどのような会社かよく分からないが、実際に記事になっていることを考えても、大阪なおみがメディア会社を始めると言う事だけで充分ニュースになってしまうだけの存在だということが分かる。
最初のNYタイムスのドキュメンタリーも、有色人種の女性に焦点を当てた作品で、Black Lives Matterに最初から積極に関わった大坂なおみの意思が現れている。そのような社会的に意味があると大坂なおみが思えるようなプロジェクトを行うための会社なのかもしれない。あるいは、そう言って口説いたのか。
大阪なおみは、グランドスラム4回優勝と言う実績と明るいキャラクターから、多くの人に愛されている。そして、それが、彼女の収入にもつながっている。2021年だけでスポンサーシップ収入は5,700万ドルだそうだ。さらに、スキンケアの会社Kinloを立ち上げ、ウォルマートの3000カ所で販売も始まっている。すでに大坂なおみと言うブランドを利用する企業なのである。その企業が、新たにコンテンツビジネスに進出したと言うことになる。
Hana Kumaに関しては、レブロン・ジェームスの出資するSpring Hillが、アスリートを生かしたコンテンツビジネスの拡大を目指していることと思惑が一致したのだろう。今後はレブロン・ジェームスも含めて、他のアスリートが関わるようなコンテンツが誕生してくるのかもしれない
情報爆発時代と言われて久しい。数年前にはYouTubeには1分間に500時間分の動画がアップロードされている情報があった。今はもっとかもしれない。当然YouTubeだけではなく、様々なメディアチャネルにコンテンツ溢れかえっている。その中で実際に消費されるコンテンツは、ごく僅かだ。どのように選択されるかと言うことを考えると、それは他の商品と同じように、インフルエンサーの推薦があることが1つの方法となる。
その意味でSpring Hillが、大坂なおみと言うブランドをつけて、コンテンツを販売していくと言う事は有効な戦略だ。しかもブランディッド・コンテンツも取り扱うので、大阪なおみのNike、マスターカード、ルイ・ヴィトン、パナソニックなどの12社の契約スポンサーは、その重要なターゲットになるだろう。すでに暗号資産取扱所のFTXは、Hana Kumaでブランディッド・コンテンツを制作していると記事には書かれていた。
大阪なおみの日本における人気も考えると、日本語版の制作もあり得るかもしれない。効率を考えると、英語版の吹き替えか字幕と言うことになるだろう。それにしても、インターネットの時代と言うのは、知名度や人気がいくらでも金銭に変換できる時代だ。