さようなら青い鳥

by Shogo

ブルーバードの名前が消えるそうだ。ブルーバードと言えば、ニッサンブルーバード510だ。1967年に発売されたブルーバードの三代目である510モデルは、サファリラリーで優勝するなどしてスポーツイメージが高く、当時の広告のイメージが今でも浮かんでくる。子供の頃のあこがれの車だった。特にSSSと呼ばれるスポーツモデルがあって、とてもかっこよかった。あの頃の箱型のイメージは車らしくて今でも好きだ。BMWなども2002モデルも、今でもたまに見かけるが同じような箱型だ。

サファリラリーの優勝は、石原裕次郎主演の映画「栄光の5000キロ」にもなって、当時は日本を代表する車でもあった。日本の車が海外のラリーで優勝するというのは、その後はホンダのF1もあるが、 非常にすごいことだと思っていた。そもそも海外ということが遠い遠い場所だったからだ。その遠いアフリカに行って世界の車メーカーに伍して勝利するというのはまさに栄光と思われた。

昨日から暗いイメージだから書いてしまうのは余計なのだが、ブルーバードが消えることが、この国から希望が消えるような不吉な偶然も感じる。アジアの国はどこも未来を信じる若者が、青い鳥を求めて活動するイメージがあるが、この国にはそんな青い鳥を求めるというような若々しくて貪欲でギラギラした感じがしない。

本屋で立ち読みしかしていないので内容を詳しくは語れないが「絶望の国の幸福な若者たち」という本に若者の志向が書かれている。やはり日本は世界のどの国と比べてもかなり豊かで楽に暮らしてゆける一方、バブル崩壊後の低迷に慣れきって青い鳥を探しに行こうという覇気がないような気がする。自分はどうかと聞かれれば、挑戦すべきことがあれば挑戦するよと答えるが、実はそう度胸があるわけでないので、おっかなびっくりかもしれないが、それでも青い鳥を求める気持ちはまだあると言える。

昔見たアル・パチーノの映画の「セイント・オブ・ウーマン」の最後の部分で、アル・パチーノ扮する退役軍人がスピーチする場面がある。その中で正しい道は常に分かるが、選ぶのが難しいということを話す。それは正しい道は常に困難だからだというのが彼の理由だ。でも青い鳥を求めることが常に正しい道かと聞かれれば、それは分からないが、一つだけ言えるのは、青い鳥を求めるかどうかは別にしてチャレンジする心をなくしてはいけないということだ。それが正しい道だ。人一倍、楽に暮らそうかと思う気持ちもあるから、ここはアル・パチーノのいうように、同じことを書いておこう。

今朝もエルは5時起きで早起きだが、東京の日の出は6時37分だからまだしばらくは散歩には出かけない。ちょっとだけ、ドイツの暗いお話も戻るとするか。

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