新聞の電子化

by Shogo
樹木と朝陽

ニューヨークタイムスは、2020年の第2四半期(4月〜6月)の収入が、デジタル部門が紙部門を上回ったと発表した。見出しだけ見たときは、広告収入の売り上げと誤解したが、記事を読むと販売収入(購読契約)も含むということが分かった。

デジタル部門の売上が1億8550万ドルで、紙部門が1億7540万ドルということだ。これは、コロナ禍の影響で広告も減っていることが影響しているし、また同様の理由と思われるが、デジタル版の契約が同期間に66万9千件増えたことも影響している。

ニューヨクタイムスの購読契約数は、650万件だが、このうちデジタル版の契約は570万件を占める。実に87%だ。デジタル版の普及がすごいし、またこの期間に67万件近くも増えたこともすごい。前者は、ニューヨークタイムスという新聞の持つステイタスが、ニューヨーク市だけではなく、全米、全世界に影響力を持つからだし、短期でデジタル版が急増した理由はコロナの影響とも言えるだろう。問題は、デジタル版がどこで増えたかだが、それは発表されていない。現実的に考えればニューヨーク市あるいは周辺の地域と考えられるがか確証はない。あくまでも個人的な感覚だ。家にいなければいけないが新聞を契約しようと考えたら普通は地元の新聞だし、駅やスーパーで買っていた新聞で他紙を買っていたが契約するならニューヨークタイムスにしたというようなことかもしれない。証明するためにはニューヨークの他紙の販売数が必要だが、そのデータはない。デイリーニューズや

ニューヨーク・ポストもあるが、タブロイドで内容が違っているし、全国紙のUSA TODAYやウォールストリートニュースもあるが、一般の人の選択肢にはなり難い。

コロナ禍による経済原則はあらゆる産業に影響を与えているが、ニューヨークタイムスの広告収入にも大きな影響を与えたようだ。紙部門の広告は55%減、デジタル部門で32%減ということで購読者が増えた分、デジタル部門は影響が少ない。合計の広告売上が、6780万ドルで前年同期比44%減ということなので、推定すると紙とデジタルの広告売上は、ほぼ拮抗しているようだ。日本の現状を見てみると数字は少し古いが、デジタルの割合は 一般紙で平均1.4%。

一般紙の18年度売上高に占めるデジタル関連事業収入の割合は、61社の平均で1.439%だった。前年度比(以下同)0.243ポイント増で、調査を始めた16年度以降伸び続けている。スポーツ4紙の平均は8.809%(1.977ポイント増)だった。分布を見ると「0.1%以上0.5%未満」が21社、「1%以上5%未満」が18社。「0.5%以上1%未満」11社、「0.1%未満」9社、「10%以上」2社だった。スポーツ紙の内訳は「5%以上10%未満」が2社、「10%以上」「1%以上5%未満」は各1社だった。

新聞協会ニュース

ニューヨクタイムスは、2011年に記事の有料化に踏み切っている。ウォ―ルストリートジャーナルは、それより早く1990年代の終わり頃には有料化しているとおもうが、どちらも有料モデルで成功している。インターネットではコンテンツはただという印象を打ち破るのは大変だが、それを可能にしているのは新聞のブランドイメージだ。日経の電子版のの契約数が70万件だから、日経も同じくらいの期間を電子版に使っているが、日本ではコンテンツの有料化はまだまだ難しそうだ。

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