現実世界の広告ブロック

by Shogo

世の中には面白いものを考える人がいるものだ。そう思ったのは、ARを利用した現実世界の広告ブロックメガネだ。これをかけると、街なかの広告看板やポスターが非表示になる(スマートメガネを通して見た際に見えない)。

現代社会において、日常的に無数の広告に囲まれて生活している。街中の看板、電車内の吊り広告、商品パッケージに至るまで、広告は視界のあらゆる場所に存在する。デジタル世界では「AdBlock」のような広告ブロック機能が普及し、多くのユーザーがオンライン広告から解放されている一方で、現実世界の広告をブロックする手段は存在しなかった。

しかし、ベルギーのソフトウェアエンジニアのStijn Spanhoveさんが開発したARアプリケーションが、この状況を根本的に変えるかもしれない。彼は、Snap社の第5世代ARグラス「Spectacles」とGoogle Gemini AIを組み合わせ、現実世界の広告を自動識別してブロックするアプリケーションを開発したという。

アプリケーションの動作は、まずARグラスのカメラが周囲の環境をリアルタイムで撮影し、Google Gemini AIが画像解析を行って広告、看板、商品表示を識別する。識別されたコンテンツは即座にブロックされ、赤い四角形で置き換えられる仕組みとなっている。

公開されたデモンストレーション動画では、このアプリケーションがポスター、歩道の看板、新聞広告、さらには食品パッケージのブランド名まで正確に識別し、視覚的にブロックしている様子が確認できる。このような高度な物体検出技術は、深層学習の発展により可能となったものであり、人間の認識精度を超えるという研究結果も報告されているようだ。

Snap社は2016年からARグラスの開発を継続しており、当初はカメラ付きサングラスとして始まったSpectaclesは、現在では本格的なARデバイスへと進化しているという。第5世代のSpectaclesは、視野角の拡大、バッテリー寿命の改善(30分から45分への延長)、ハンドトラッキング機能の搭載など、前世代から大幅な改良が施されているようだ。

ARグラス市場は急速な成長が見込まれており、2025年から2030年にかけて年平均成長率27.3%を記録し、2030年までに82億6,000万米ドルに達すると予測されている。MetaのRayBanとのコラボも人気が出始めている。Googleもスマートグラスを発表したし、Appleのスマートグラスも噂されている。スマートグラスが普及すれば、現実世界のアドブロックもさらに利用が進むかもしれない。

今のところアドブロックだが、これが更に進むと「物理的に見る物体をコントロールできる未来」も現実的な可能性となる。考えてみれば、すごいことだし、恐ろしいことでもある。嫌いな人は存在しないように見えるとかね。

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