このところ、webを見てもYouTubeを見ても、明らかにAI生成と思われる画像や動画が多く、なんとなく嫌な気持ちになる。
そんなことを思う人が多いのか、DuckDuckGoは、検索結果からAI生成画像を非表示にできる「Hide AI-Generated Images」機能を導入した。これは、ネット上に人間の手によるものかAIによるものか区別のつきにくい画像が氾濫している状況に対応する試みだ。
MidjourneyやStable Diffusionなどのようなツールが一般化したことで、質の低いAI生成画像、いわゆる「AIスロップ」が検索結果を埋め尽くす現象が広がっている。ユーザーが信頼できる写真やオリジナルの画像を探しにくくなる中で、DuckDuckGoは「ユーザーに選択権を与える」というアプローチを明確に打ち出した。
この機能は、uBlock Originの「nuclear list」やuBlacklistの「Huge AI Blocklist」といったオープンソースのブロックリストを利用し、AI生成と判断される画像を検索結果から排除する仕組みを採用しているのだそうだ。完全に除外することは難しいものの、ユーザーが常時「AI非表示モード」を設定できる点は、他の大手検索エンジンにはない特徴だ。
今回の取り組みは、単なる利便性強化にとどまらず、検索市場全体に次のような影響を及ぼすと考えられる。
まず第一に、検索の信頼性競争が加速する。Googleをはじめとする大手はAIを積極的に取り込む方向に進んでいるが、DuckDuckGoはあえて「AIを見せない自由」を前面に出すことで差別化を図っているようだ。AI推進とAI抑制という二極化した戦略が生まれ、検索市場はより多様な価値観に応える方向へと進む可能性があるだろう。
第二に、ユーザー体験の透明性が重要な評価軸となる。AI生成コンテンツが当たり前になると、人々は「どこまでがAIで、どこからが人間の成果物か」を明確に知りたくなるはずです。Hide機能は、そのニーズに先行して応えたものと言え、今後は「表示コンテンツの由来を明示すること」が検索サービスの標準となるかもしれない。
第三に、広告やマーケティングへの波及効果だ。AI生成画像の氾濫が続けば、ブランドのオリジナルビジュアルが埋もれてしまう懸念がある。DuckDuckGoの機能は、広告主やコンテンツ制作者にとって「本物」をユーザーに届けやすくする仕組みとして注目されるだろう。
DuckDuckGoの「Hide AI-Generated Images」機能は、生成AIが引き起こした情報環境の混乱に対する一つの解答であり、ユーザーに「選ぶ自由」を与えるものだ。