NFLの木曜日の試合、Thursday Night Football(TNF)が、Amazon Prime Videoの独占に移行して最初の試合が配信され、1,530万人の視聴者を獲得した。アメリカの放送業界では、日本では一般的な視聴率よりも獲得した視聴者数を発表する。
このAmazon Prime VideoでのTNF 1,530万人は、昨年のテレビで放送されたNFLシーズン全体での平均視聴者数1,320人を大きく上回る。またAmazon Prime Videoも広告主には1,250万人の視聴者を約束していたが、これも軽々とクリアした。ちなみに、この数字はAmazon Prime Videoだけの数字で、出場チームの地元テレビ局が獲得した120万人は、当然含まれていない。
NFLの試合の配信では2021年のNFL Networkで独占配信されたTNFプレミアは、700万人の視聴者を集めている。しかしAmazon Prime Videoは、有料配信なので、プライム契約が必要となる。このため、その数字よりも低くなると言う予想が大勢を占めていたが、これも遥かに超えた。
特に、広告主にとっての朗報は、平均視聴者年齢が、昨年のFox、NFL Network、Amazonの3社による放送に比べ、54歳から47歳に引き下げられたことだろう。広告主は到達したいターゲットに近づいている。
このTNFの独占配信は、Amazon Prime Videoにとっても大きなイベントとなった。これまでのブラックフライデーやサイバーマンデーのどのセールスキャンペーンの時よりもAmazon Prime会員の新規契約数は多く、記録を更新したと言う。その数字を公表されていないので事実かどうかを確認しょうがないが、Amazonを信じればそういうことらしい。
Amazon Prime会員のアメリカでの契約者数は1億5640万人と発表されている。アメリカの人口3億2950万に対して、実に48%の普及率だ。これを伸ばしたと言うのだからやはりアメリカンフットボールの力は偉大だ。アメリカでのAmazon Primeメンバーの年会費は、今年も引き上げられてすでに139ドルになっている。日本の4900円に比べてもはるかに高い。というかむしろ日本が安いのかもしれない。今の円ドルのレートで考えて、4倍の価格差だ。賃金の高い国と安い国の違いがここにも現れている。
AmazonはTNFを年間10億ドルで11年契約をしている。今回の結果を見てもAmazonの巨額の投資はその価値があったと言うことになる。
昨年のアメリカの放送業界のトップ50の番組のうち、48がNFLの試合が占める。だから、Prime Videoの配信ビジネスのコンテンツとしてNFLに巨額の投資を行うと言うことについては、最初から勝算があったにせよ、この第1回目の試合の結果にAmazon Prime Videoも満足しているだろう。この数字を見ると、放送事業も、いよいよ配信の時代に入ったことを実感させる。