ウォーキングやジョギングが健康に良いことはよく知られている。これについては疑う余地がないだろう。しかしその強度については、あまり詳しい研究はなかった。
今回AMA Internal Medicine誌とJAMA Neurology誌の2つの論文で明らかにされた新しい研究は、運動の強度と健康の相関関係を証明するものだ。
これらの論文の元になった研究は、イギリスのUKバイオバンクの登録者で、平均年齢61歳、78,500人のデータから得られた結果だ。この研究の参加者は、夜を含む週に7日間活動量計を着用することを同意している。この参加者から、運動量と健康状態のデータを収集した。従来の自己申告のアンケート式の調査と違い、実際の運動量と健康に関するデータが数値的に関連づけられる。このデータ収集は6年から8年にわたって行われ、参加者の健康状態を追跡調査している。参加者の数や調査期間から、かなり信頼できる調査になっている。
この調査から分かった事は、1日の歩数が2000歩増えるごとに、早死、心臓病、がんのリスクが10%低下し、それは1日10,000歩まで同程度の効果が得られること。認知症の発症に関しては1日9800歩でリスクが50%低下し、1日3800歩から25%のリスク低下が見られること。1日10,000歩以上では、そのレベルの活動量を持つ参加者が少なかったので有効なデータを得られていないという。
これらのデータから見ると、よく言われる1日1万歩ではなく、少ない歩数で、健康に対する効果は始まる。
これだけだと、従来の調査から大きく違う事は無い。違うのは活動量計をつけてウォーキングの強度について調べていることだ。この研究の中で、1日に最も多く活動した30分の中の1分あたりの歩数を調べたところ、1分あたり80から100歩歩く、早歩きの参加者の健康状態は、毎日同じ歩数をゆっくり歩く参加者に比べて良好であることがわかった。早歩きの人は、ゆっくり歩く人に比べて、死亡リスクが35%低く、心臓病やがんになる確率が25%低かった。また、認知症になるリスクが30%低いかった。
今回の発表された研究では、ゆっくり歩くよりも速く歩く方が効果があることが活動量計で証明されたことが、新しい発見だ。
ただし、この研究では、早歩きをジョギングまですれば、さらに効果が上がるのかと言う事はわからない。これについては2013年にAHA Journalに発表された研究がある。この研究ではウォーキング15,945 人とランニング33,060人の参加者から、それぞれの運動と健康効果を調べている。この研究では、中程度の運動のウォーキングと激しい運動のランニングは、同程度のエネルギー消費により、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病を同様に減少させた結果が得られている。つまり中程度のウォーキング運動であっても、ジョギングより長い時間続けることにより、ジョギングと効果は変わらないと言えるということだ。
今回の研究の中で言及されている早歩きの1分間に80から100歩と言うのは、どれほどのスピードがよくわからない。これについては次の散歩の際に、ストップウォッチを使って測ってみようと思っている。とは言いつつも、散歩の途中で時々小走りに走るようにしているが、それほど速いスピードでもないと思われる。だから、1分間に80歩も歩いてない可能性の方が高い。意識してもう少しスピードを上げる必要があるのだろう。