「TikTok売れ」は続く

by Shogo

昨年「TikTok売れ」が、日経トレンディと日経クロスクロストレンドが発表した「2021年ヒット商品ベスト30」で1位になった。TikTokが消費に大きな影響力を持っていることが評価された。TikTokはユーザーの視聴履歴を基に、おすすめの動画をタイムラインに表示し、バイラルを発生させやすい。これが、特定の商品と結びついたときに、TikTok売れと言われるような状況が発生するようだ。企業が、その流れに乗って広告を投入すると、その話題が加速して、その商品が売れるというメカニズムと言われている。

単に短いダンスや音楽の動画共有と思われていたソーシャルメディアは、広告メディアとして急成長している。調査会社のインサイダー・インテリジェンスの推計によれば、今年のTikTokの広告収入は100億ドルに達し、昨年の2倍以上となる。その結果、TikTokはGoogleやMetaに次ぐ第3位の広告メディア会社となる。今年は景気の減速で広告業界も影響受けているが、TikTokはではその影響は少ないようだ。100億ドルの広告収入があるTikTokの規模は、日本の広告費全体が7兆円に達していないことを考えると、巨大広告企業だ。もちろん、GoogleやMetaのそれは、日本の広告費の何倍もの規模だ。

TikTokのユーザーは全世界では10億人程度と言われている。しかし日本の国内では数字が発表されないために、数年前に発表された950万人と言う数字しかない。この数字は実態を反映していないは確実だ。Instagramの日本でのユーザー数はMetaの発表によれば、3,300万人だ。肌感覚では、この数字にかなり近づきつつあるのではないかと思われる。

なぜTikTokが日本国内のユーザー数を発表しないのか、理由がよくわからない。広告の販売では、急成長しているSNSとして数字を定期的に発表する方が効果的と思われるが、そうはなっていない。実際に学生などに聞いてみると、TikTokのユーザは当たり前のように多い。

アメリカの数字にはなるが、TikTokのユーザーは、1日平均96分前後このアプリに費やしていると言う。これはTwitterの3倍、FacebookやInstagramの2倍だと言う。次々とおすすめの動画が現れるために、いくつもの動画を見て、時間をかけてしまうというのはよくわかる。

TikTokは、ユーザーだけでなく、広告主を惹きつけるためにいくつかの工夫をしている。まず広告がスクリーンの全面に表示されるために広告とは分かり解りづらいということがある。また、広告主に対して、TikTokの契約コンテンツクリエイターが広告を制作するプログラムを用意しているために、より自然なビデオを作ることができる。これが、商品の販売に寄与している。

TikTok売れの、もう一つの要因はTikTokで買ったものを紹介する動画をユーザーに投稿してもらうように積極的に働きかけていることだ。「#TikTokMadeMeBuyIt」というハッシュタグをつけて投稿するように呼びかけている。すでに「#TikTokMadeMeBuyIt」のハッシュタグは286億回以上再生されている。自分の買ったものを紹介することで、さらにその商品が売れることだ度々起こる。TikTokが単に動画共アプリでなく、消費欲望マシンということだ。

このTikTokの成長に対抗して、Googleも縦型の短い動画のYouTubeShortsを開始した。こちらのほうも、投稿数も再生回数も増加しているようだ。TikTokのような縦型の動画は、スマホのスクリーンに向いている事は明らかのために、今後はYouTubeShortsのほうも伸びていくのだろう。現在では60秒の時間制限があるが、これは近い将来緩和されるのではないかと思っている。

メディア接触がどんどんスマホに移っている。スマホで動画を見ると言う私たちの生活習慣は、今後さらに進み、広告メディアとしても重要なメディアとなっていくのは、確実だ。TikTokの人気がいつまで続くかわからないが、常に新しい動画共有サイトは生まれ、広告メディアとしての重要さは続く。

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