第3者クッキーの廃止準備

by Shogo

Googleは2024年末に第3者クッキーを廃止することを発表している。第3者クッキーは、インターネット広告のターゲティングや広告の効果測定を行うために使われている重要な技術である。

広告が主要な収入源であるGoogleにとって第3者クッキーの廃止後のインターネット広告の有効性を担保する事は、同社にとっても最重要課題である。このために、新しいターゲティング技術の構想をこれまでにも何度か発表してきている。だが、何らかの理由ですでに撤回された。これが原因でクッキーの廃止時期は、2022年、2023年、2024年と何度も延期されてきた。現時点では、2024年末の廃止の予定だ。

Googleは、今回、新しい構想を発表する文書公開して、そのテストに参加を呼びかけた。それによれば、ユーザのプライバシーに配慮しつつ、広告のターゲティングの自動に行うテストを開始するということだ。

この文書によれば、プライバシーを配慮して広告主が想定する望ましいターゲットに広告を配信するために、クッキーの代わりに.ファーストパーティーデータ、コンテクスト・シグナル、プライバシー保護APIが含まれると説明している。

現時点ではこれが、どの程度有効なのかわからない。第3者クッキーは、インターネットユーザーのウェブ上での行動履歴を常にトラッキングでき、このためにパーソナライズされた広告を適切なタイミングで提供できる。

このようにユーザーのウェブ上での行動を監視することについては、プライバシー保護団体を筆頭に多くの批判がある。Appleはこの動きに対応して、そのブラウザのSafariからクッキーを2019年に廃止している。また、iPhoneのアプリのプライバシーポリシーを2021年に変更して、ユーザーの行動履歴などのデータを共有するためには、本人の同意が必要な形に改めた。この結果としてMetaのFacebook 、InstagramやTwitter、 Snapchatなど広告収入に大きな影響が出た。

広告収入の無いAppleと違い、Googleは広告が重要な収入源である。第3者クッキーを廃止する事は発表したものの、有効な代替手段が無いと広告ビジネスに大きな影響が出る。このために何度も延期することによって、結果的に現時点でも第3者クッキーを生きながらえさせている。

2021年から、Googleはプライバシー保護のための「プライバシー・サンドボックス」のテストを開始している。これはクッキーを使用せずに、広告のターゲティングや効果の測定を行う仕組みだ。「サンドボックス」とは、箱庭のように限定したデータにしかアクセスできないことを意味している。

しかし、これについては現時点ではまだ完全に機能しているいないものと思われる。このために第3者クッキーの廃止を送らしていると思われる。

現時点で進めているプライバシーAPIは、Topic APIという名称でも公表されているもので、プライバシーを保護しつつ、ブラウザの履歴データにより行動履歴を把握し広告のターゲティングができる機能を持つとされている。

このTopic APIは、ユーザの興味、関心を追跡して、ターゲットとして特定する。しかし、このTopic APIでは今までのクッキーのように誰でもアクセスできる訳では無いようだ。その情報もコントロールされており、ユーザーのすべての情報を網羅するということになっていないという。Googleによれば、Topic APIは、ウェブメディア側が自社のサイトのコンテンツによる文脈的なユーザのデータと組み合わせることによって、より精度が高くなるという。

つまり、第3者クッキーのように、ユーザーのすべての行動履歴を外部からは把握することができない。プライバシー保護の観点からユーザーの情報は限定された形で、Googleから提供される。このデータと訪問するウェブのコンテンツと組み合わせると、ユーザの興味や関心が推定できるという仕組みのようだ。

それは極端に言えば、Googleの提供するユーザーの関心データを無視すれば、20世紀の広告と同じだ。車に関心がある人が読むであろう自動車雑誌に広告を出すような事とあまり変わらない。インターネットの広告が成長してきたのは、そのターゲティングの精度と、その広告を見たユーザーのその後の購入などの結果を測定することにあった。この追跡とプライバシー保護とは完全に相反するものであり、Googleがいかに主張しようとも、ターゲティングの精度や効果測定については第3者クッキーと同じような機能を持つとは考え難い。

Googleは今回の文章を公開して、Googleが行っているテストに広告主やウェブメディアの参加を呼びかけている。このテストで精度や効果を調整しながら、2024年末の第3者クッキーの廃止に準備しているものと思われる。

インターネットが我々の生活の中心になっている以上、メディアの王者としての地位は変わらないまでも、広告主にとっては、その広告は、第3者クッキーの時代よりも確実に精度が落ちる事となるであろう。

今朝の準決勝は順当にフランスが勝った。アルゼンチン対クロアチアもそうだが、予想通りの結果だ。昔から言われるように、どの競技でも準々決勝が面白いと言うのは、今回の大会にでも当てはまる。それにしても、フランスの2点目のムバッペのドリブルでのゴール前の切り込みのアシストは凄いものだ。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください