YouTubeのスキップできない30秒広告

by Shogo

YouTubeが、広告主向けに開いているBrandcastイベントでテレビ広告に向けられていた広告費を狙った、30秒のスキップできない広告を発表した。

YouTubeは、ユーザの視聴体験を優先して。短い広告か、あるいはユーザがクリックをしてスキップできる広告を中心には広告販売を行ってきた。それが今回は方針を転換して30秒と言う長い時間の広告の販売を始める。ただしこの30秒の広告は、ユーザがテレビを使って視聴している時だけに再生されると言うことだ。テレビの画面で見ているときは、通常のテレビ放送と同じような30秒の広告も受け入れやすいと考えたということなのだろう。

今回の新しい広告フォーマットの30秒広告はYouTubeSelectと言う名前で、広告販売シーズンの初めに広告を契約する広告主にのみ販売される。また、その広告はYouTubeのコンテンツの人気上位5%の再生回数とユーザエンゲージメントが高いクリエイターの動画にのみ挿入される。

このテレビと同じ30秒のスキップできない広告の登場で、YouTubeは広告主に対して、通常のテレビと変わらない訴求力を持つ広告メディアであることをアピールするようだ。今回のBrandcastイベントで、テレビ画面でのYouTube視聴者は、月間1億5000万人に達したと発表している。この1億5000万人と言う数字は、アメリカ国内のYouTubeユーザに限定したことだと思われる。そうでなければ、あまりにも少なすぎる。今回の30秒広告のYouTube Selectも当面はアメリカ国内の広告主に提供されるようだ。今後、アメリカでは、伝統的なテレビ局とYouTubeの間でテレビ広告費をめぐって競争になっていく事は間違いない。

一部には、高い制作能力を持つテレビ局と個人の投稿のメディアではコンテンツの質が違うという議論もあるようだが、2つの点で、その意見は間違っている。まず、質は視聴者が判断するものであって、誰が制作したかは関係ない。2つ目は、上位のYouTuberは制作費という面でもテレビ局を上回る資金を投入して作っているケースも多く、素人の投稿のレベルを超えていることも多い。

今回のスキップできない30秒広告の導入については、YouTubeの成長が鈍化したことも影響していると思われる。今年の第一四半期の広告収入は、前年比2.6%減の67億ドルにとどまり、稼ぎ頭の1つであるYouTubeが、新たな成長をテレビ広告費に求めると言うことなのだろう。

問題は、YouTubeの広告がテレビで見ているにせよ、今までのようにスキップできない時に、YouTubeのユーザがどのように反応するかだ。人間は慣れてしまうと変化に拒否反応示すことが多い。今回の30秒スキップできない広告についても、もしかすると受けられないと言う反応が多いかもしれない。

その場合には、YouTubeはプライム会員になって広告をなくしますよと言う有料課金の販売を勧めるのだろう。

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