G7サミットが広島で行われているが、NYタイムズを見てもウォールストリートジャーナルを見ても、サミットについては大きなニュースにはなっていない。特に日本人としては期待する、G7首脳の原爆資料館や慰霊碑への訪問についても一切触れられていない。
たぶん、G7そのものの影響力が低下しており、ここで何から決まっても何かが動き出すと言う事でもなく、決まる見込みがないということなのだろう。
それから現職の大統領として二人目となるバイデン大統領の広島訪問についても、一切言及がないことも特徴的だ。ニューヨークタイムスのような新聞の読者であれば、トランプ支持者と違って、広島の意味はよくわかっている。しかし、アメリカにとって原爆の問題は既に解決済みだ。第二次世界大戦末期に最後の抵抗を続けるであろう日本帝国軍との戦いにより、多くのアメリカの将兵の命を救ったとして、原爆投下は正当化されている。
また、広島訪れた現職の大統領として、一人目の当時のオバマ大統領は、すでに政権末期にあり、広島で問題が起きても大した事はなかった。しかし、そのオバマ大統領でも原爆投下について何の言及も行わなかった。今回のバイデン大統領は再選を控えており、原爆の投下とアメリカの責任について何らかの発言を行う事は全く考えられない。民主党支持を明確にしているNYタイムズは、この問題について基本的には触れたくないのだろう。
ニューヨークタイムスでサミットについて記事になっているのは、ウクライナ支援の事だけだ。特にヨーロッパの国からF-16をウクライナに供与するすることをバイデン大統領が認めたと言うことがニュースになっている。ゼレンスキー大統領の広島訪問で、今回のサミットは、対ロシア包囲網についてのことが中心であり、その他の議題についてはほぼ忘れ去られるのだろう。
NYタイムズで記事で、ウクライナの問題以外で記事になっていたのは、7カ国首脳に共通する事は何かと言うことだ。その答えは、それぞれの国での、各国首脳の不人気さだ。
イタリアのジョルジア・メローニ首相の支持率が49%。
バイデン大統領が42%。
カナダのジャスティン・トルドー首相が39%。
ドイツのオラフ・ショルツ首相が34%。
イギリスのリシ・スナック首相が33%。
岸田文雄首相が31%。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は25%。
G7を「ロンリー・ハート・クラブ」と表現する書き出しだけ見ると、G7首脳の不人気さを揶揄しているかのようだ。だが、最後まで読むと、サミットの意義と民主主義の有効性の表れと言う内容にはなっている。各国首脳の不人気さとと各国の政治的な問題については、どんな政治家にも逃れることはできなく、それが民主主義が機能している証拠だとしている。
書いてはいないが、ロシアや中国の指導者が不人気で政権を追われることがない事と対照的に、G7首脳は、今選挙が行われれば政権の座から去る可能性が高いことを指摘して、それが、民主主義国家の強みであり、弱みだと言うことで締めている。確かに、それが民主主義だ。
サミットのためと言うべきか、お陰と言うべきか、大学が休みになり、長い週末でのんびりと過ごしいる。積読の解消にはなった。サミット最終日の今日はゼレンスキー大統領を囲んだロシア包囲網の大アピールだ。ロシアが核兵器を使用ちらつかせている現状を見ると、これが広島で行われるのは、なんとも皮肉なことだ。だからこそ、ゼレンスキー大統領も広島に来たのだろう。
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