ChatGPTでも検索市場シェア変わらず

by Shogo

インターネットの入り口は時代とともに変わってきた。普及初期にはポータルと呼ばれるYahoo!などのサイトであったが、その後、Googleが、その入り口を独占してきた。SNSの普及で若い世代ではSNSが入り口というケースもあるが、Google検索がデファクトの地位は変わらない。

2022年11月のChatGPTの登場と、それとタッグを組んだBingが大きな影響を与えるかと思われたが、結果は大きくは動いてはいないようだ。個人的にはChatGPT以降、それまで全く使っていなかったEdgeとBingを使うことが増えたので、そのデータを見て少し驚いた。

StatCounterの最新の数値によると、2023年10月の米国におけるGoogleの検索市場シェアは88.1%で、2022年10月の86.75%からむしろ上昇した。

一方、同期間のBingの市場シェアは、2022年の7.4%から6年には6.92%に減少している。ChatGPTを使えるBingという理由で、私も含めて多くの人が使用を開始したと思っていたが、そうではなかった。これは大きな驚きだ。3位のDuckDuckGoのシェアも前年比2.34%%から1.91%に低下した。プライバシー意識のためにDuckDuckGoの使用も増えていくものと思っていたが、そうでもないようだ。

世界市場で見ると、Googleの検索シェアはさらに強く、Bingの3.11%に対して91.55%と圧倒的な強さだ。さらに世界のデスクトップ検索におけるBingのシェアは9.14%と高いが、2022年の9.92%からは低下しているので、ここでもChatGPTの効果はない。

しかし、言語生成AIツールの登場は、検索エンジン市場を変え始めたことは確実だ。特に、Bingに組み込まれたChatGPTは、検索結果に対話型の要素を加え、ユーザーにより直感的な検索を可能にした。これに対抗して、GoogleもBardを始めとしてAIツールを検索に組み込んだインターフェイスをリリースしている。

このような変化は、長期的に見ればユーザーの習慣に大きな変化をもたらすと思われる。しかし現時点で大きな変化が起こっていないのは、2つの理由が考えられる。まず、信頼性だ。ChatGPTなどのハルシネーションと呼ばれる誤回答などの問題が大きい。このため言語生成AIツールの精度や信頼性が低いことが理由となって、従来のGoogleを検索に利用していると思われる。

そして、習慣だ。言語生成AIツールを利用しないでGoogleを使うのは習慣だからだ。多くの人々は日々の情報収集や疑問解決のために検索エンジンを利用してきており、Googleの検索エンジンは、長年にわたってユーザーの習慣を形成してきた。これは、簡単には変わらないと思われる。そして、Googleが検索の代名詞として、「ググる」という言葉も生まれたように、確固としたブランドとなっているからだ。

だが、一方で、言語生成AIツールのような技術革新は、ユーザーの習慣や認識を変えてゆく可能性がある。これらのツールは、従来のキーワードベースの検索とは異なるアプローチを提供するため、ユーザーがこれらの新しい技術に慣れれば、有用な点も大きい。これには、もう少し時間が必要なのだろう。

ユーザーの習慣と認識は、検索エンジン市場における重要な決定要因だろう。Googleのような検索エンジンは、現時点ではユーザーの習慣に根ざした地位を保持している。しかし、技術革新による新たな検索体験は、長期的にはユーザーの選択を変える可能性を秘めている。

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