Amazon Prime Videoに広告

by Shogo

Amazonが、2024年初頭から、Prime Videoの番組と映画に「限定的な広告」を導入すると発表した。これは、Prime Videoにとって大きな転換点となる。

これまで、Amazon Primeのサブスクリプションには、追加料金なしで広告なしのPrime Videoが含まれていた。しかし、新しいモデルでは、通常のPrimeサブスクリプションに加えて、アメリカでは月額3ドルを支払うことで、引き続き広告なしでサービスを利用できる。2024年からは、広告付きバージョンと広告なしバージョンのサービスが提供されることになる。

具体的な広告の形式や頻度についての詳細はまだ発表されていない。「限定的な広告」がどういう意味かについては分からないが、例えば、Variety誌は、一時間につき約4分の広告が含まれる可能性があると報じている。Amazonは、「通常のTVや他のストリーミングTVプロバイダーよりも少ない広告」を目指すと述べている。このために、多くの広告が入り、うるさく感じることはないのかもしれない。

広告付きのバージョンは、2024年初めに、最初は米国、英国、ドイツ、カナダで導入され、その後フランス、イタリア、スペイン、メキシコ、オーストラリアでも後半に展開される。日本については、今回の発表には含まれていない。🤔2024年の後半ということだろう。

Amazonは、この新しい広告モデル導入により、広告収入によりコンテンツへの投資を長期にわたって増加させることを目的としているようだ。また、Amazon Originalsやライブスポーツなど、広範な映画やシリーズを提供することで、新たなコンテンツの調達にも力を入れて競争を勝ち抜く考えなのだろう。

広告つきストリーミングサービスも競争は激しい。有力な代表的な競合を列挙すると以下の通りとなる。

Hulu

  • Huluは、基本プランでは広告が含まれている。追加料金を払うことで広告なしのプランも選べる。 Huluは、広告付きプランでもオリジナルコンテンツも提供しており、これ大きな魅力となっている。

Peacock

  • NBCUniversalのPeacockは、無料の広告付きバージョンと有料の広告なしバージョンがある。Peacockの強みは、NBCの番組や独自のオリジナルだ。無料版でも、限定された番組と映画が視聴でき、有料版ではより多くのコンテンツが提供される。

YouTube Premium

  • YouTube Premiumは、広告なしでYouTubeの全コンテンツを視聴できる。また、バックグラウンド再生やダウンロード機能などの機能も可能となる。YouTube Music Premiumもついてくるので、映像コンテンツだけではなく、音楽も楽しめる。

Paramount+ (旧CBS All Access)

  • Paramount+も、広告付きと広告なしの両方がある。CBSのテレビ番組、映画、スポーツのライブストリーミングが視聴できる。 CBS、Paramount Pictures、Nickelodeonなどのコンテンツが人気だ。

Netflix(広告付きサービス)

  • Netflixは、2022年末に広告付きプランを導入した。このプランは、従来の広告なしプランよりも価格が低く設定されている。ただし、広告付きプランでは全てのコンテンツにアクセスできるわけでではない。Netflixも新しい収益源を開拓しようとしている。

Amazon Prime Videoの広告モデル導入は、広告付きストリーミングサービスの新しいオプションとして、広告付きのプランを提供しているNetflix、Hulu、Peacock、Paramount+などの多くのストリーミングサービスに影響を与え、市場の競争をさらに激化させる可能性がある。他の競合他社が広告モデルをどのように取り入れているかに関わらず、Amazonはその大規模な規模と影響力を活用して市場を牽引する立場を強化するだろう。

Amazon Prime Videoが広告を導入することは、Amazonの長期的なビジネス戦略を明らかにしているようだ。それは、Amazonのメディア・広告事業への傾斜だ。すでに、Amazonは広告企業として、GoogleとMetaに次いで第3位だ。

Googleは、広告業界の1位企業だ。2023年の広告収入は2,050億ドルで、前年比1.0%の減少。第2位のMetaは、FacebookやInstagramなどの2023年の広告収入は1,320億ドルで、前年比1.7%の減少。これは、同社史上初の減少となった。Facebook広告は前年比2.0%減の830億ドル、Instagram広告は前年比2.5%減の490億ドル。

Amazonは、ECサイトやアプリで表示される広告が主力で、2023年の広告収入は1,140億ドル。前年比19.0%の増加だ。これは、Amazonが広告事業を強化したことも理由の一つと思われる。全体として、GoogleやMetaの広告収入は減少傾向にある一方、Amazonの広告収入は増加傾向にある。これは、広告主が、購買に直結しやすい広告を重視する傾向にあるからだ。今回のPrime Videoの広告事業もその流れにある。特に、第三者クッキー廃止後を見越して、Amazonの広範な顧客データと組み合わせることで、広告主はより精度の高いターゲティングが可能になり、効果のある広告が可能になるために、Amazonの広告事業はますます重要になってゆくだろう。

物販からスタートしたAmazonは、WEB事業(AWS)から大きな収益を上げるようになっている。Prime Videoのメディア・広告事業は、Amazonの第三の柱となってゆくと予想される。

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