iOS 17.4

by Shogo

iOS 17.4ベータ版の開発者向けの提供が始まった。今回の新しい機能中では、Podcastsアプリの自動生成トランスクリプトが気になった。いくつかPodcastsを聴いているが分からないところの確認ができそうだ。自動生成されるトランスクリプトは、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語に対応している。番組を聞きながらリアルタイムでテキストを追うことができ、言葉がハイライトされるため、内容を理解しやすくなるようだ。また、書き起こしをタップすることで、その部分から再生を始めることも可能だという。

それ以外の変更は、SafariのURL/検索バーが以前よりも広くなる。これにより、ユーザーはより多くの情報を一目で確認でき、ウェブサイトのURLや検索クエリを入力しやすくなる。確かに、今のバージョンではURLが見辛い。

別の変更は、「盗難防止機能」セクションに新たなオプションが追加されることだ。これにより、ユーザーは「常にセキュリティ通知を要求する」か、「馴染みのない場所にいるときのみセキュリティ通知を要求する」という設定を選択できる。これは、セキュリティを強化し、盗難や不正使用を防ぐためのものだ。

自分には関係ないが、新しい絵文字も追加される。ライム、食用キノコ、フェニックス、壊れた鎖、縦に首を振るや横に首を振るなどが含まれる。これは使わないだろうな。

もう一つの使わない変更は、 ゲームアプリの変更だ。iOS 17.4では、ストリーミングゲームアプリが全世界のApp Storeで許可されるようになる。これまでAppleは、クラウドゲーミングサービスをウェブ経由でのみ提供することを許可していたが、これによりXbox Cloud GamingやNvidia GeForce NOWなどのサービスをiPhoneやiPadのアプリとして使用が可能になる。これも、iPhoneのオープン化の一環だろう。

今回のアップデートで一番重要なのは、EUのデジタル市場法(DMA)対応だろう。現時点ではEU域内のユーザーのみの変更だが、いずれ世界に広がると予想する。

このDMA対応のために、2024年3月から、アプリ開発者は別のアプリストアを利用したり、代替の支払い方法を提供したりできるようになる。例えば、開発者は年間0.50ユーロのユーザーあたりの手数料を支払うことで、App Store外でアプリを配布できるようになる。また、App Storeを通じて配布されるアプリの手数料も減額される。

サブスクリプションとアプリ購入に対する手数料を17%に変更し、最初の1年後には10%に減少する。さらに、App Storeを通じた取引に対して3%の「決済処理」手数料が新たに追加される。また、App Storeまたは第三者のウェブサイトからのすべてのアプリダウンロードに対して、最初の100万インストールを超えると一律€0.50の「コアテクノロジーフィー」が課されるという。これは、今までの30%一律から大きく減額ということになる。これが、全世界に広がると、iPhoneでのKindleのコンテンツが買えるようになり、個人的には利便性が向上する。

Appleは以前から、アプリをApp Storeのみで配布と販売を行ってきた。これの30%の手数料が高額だとして、FortniteのEpic Gamesとの裁判も行ってきた。Appleは、App Storeによる独占について、ユーザーを詐欺やマルウェア、その他のプライバシーおよびセキュリティ問題から守るための対応だと主張してきたが、今回のDMA対応のために、独占を諦めることとなった。Appleとて、USB-C対応と同様に法律には勝てない。これが、iPhone生態系にどのような変化を生むのだろうか。

この変更で、アプリ開発者は初めて、App Store外でアプリを配布し、決済を行うことができる。Appleは、App Storeを通じないアプリに対しても「Notarization」と呼ばれるレビュープロセスを適用するという。これは自動化と人間の担当者を使用し、マルウェアなどからユーザーを守ることに焦点を当てるという。しかし、詐欺や不適切なコンテンツなどの他のリスクに対処する能力は低下することは確実だ。安全と思われてきたiPhoneのアプリにAndroidのような「野良アプリ」が登場することになるからだ。

また、iPhoneユーザーにとっての重要な変更は、Apple Payに依存しない決済が可能になることだ。Appleは、iPhoneのNFCチップへのアクセスをアプリ開発者に提供する新しいAPIを提供する。これにより、Apple Payに依存しない決済方法が構築できる。これは、便利なのかどうかは、ユーザーの立場としては微妙だ。これまで、自分のクレジットカードをApple Payに登録して、iPhoneで支払っているから、この変更自体は多くのユーザーには関係ない。

また、ユーザーにとってSafariウェブブラウザーの位置付けも変更になる。iOS 17.4アップデート後にアプリを初めて起動する際に、デフォルトブラウザーを変更するかどうかが聞かれる。ChromeやFirefoxなども選択可能になる。これも開放の一環だろう。

これらの変更点は、特にApp Storeの変更点は、EUのみの変更だが、いずれ世界に広がるだろう。当面、個人的に関係があるのは、自動生成トランスクリプトだけのようだ。

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