2024年のスーパーボウル(Super Bowl 58)は、2024年2月11日にネバダ州ラスベガスのアリージャント・スタジアムで開催される。放送は、CBSとスペイン語放送のUnivision。配信は、Paramount+で、スペオン語のVix が行うNFL+/NFL.com/NFL appも配信する。年に一度の最大のメディア・イベントだ。
対戦するのは、カンザスシティ・チーフスとサンフランシスコ・49ers。チーフスは過去5シーズン中4回目のスーパーボウル出場で、アンディ・リード監督とパトリック・マホームズ選手が3度目のスーパーボウル優勝を目指す。一方の49ersは、カイル・シャナハン監督の下で5シーズン中2回目のスーパーボウル出場となる。両チームは以前、Super Bowl 54で対戦しており、その時はチーフスが勝利している。今回はどうなるか。
今回のスーパーボウルが、メディアで大きく取り上げられているのはテイラー・スウィフトが絡んでいるからだ。彼女は、グラミー賞において「Midnights」で年間最優秀アルバム賞を受賞した。これが4度目で、スティービー・ワンダー、ポール・サイモン、フランク・シナトラの受賞記録(3回)を抜いて史上最多を更新している。また昨年来のThe Eras Tourが大人気で最も話題性のあるアーティストだ。その彼女が、カンザスシティ・チーフスのタイトエンドのトラビス・ケルシーと交際しているとしてチーフスの試合に注目が集まっている。女性の視聴者が増えており、彼女が試合に観戦にくるという噂が流れ、観客が増えているようだ。スーパーボウルは2月10日まで東京でコンサートがあるので、ラスベガスでの観戦は微妙だ。だが、プライベートジェットだから、ラスベガスに間に合わないこともない。
長々と書いてしまったが、話題はスーパーボウルの広告についてだ。2024年の30秒の広告は、平均700万ドルだった。これは昨年から値上がりはしていない。年々値上がりしているが、今年は値上がりしなかったようだ。アメリカ最大のメディアコンテンツであり、2023年の視聴者数は1億1500万人以上を記録している。このようなイベントであるために、広告費は年々値上がりしている。過去の30秒の広告費は以下の通りだ。
- 1966 CBS $42,500
- 1966 NBC $37,500
- 1967 CBS $54,500
- 1968 NBC $55,000
- 1969 CBS $78,200
- 1970 NBC $72,500
- 1971 CBS $86,100
- 1972 NBC $88,100
- 1973 CBS $103,500
- 1974 NBC $107,000
- 1975 CBS $110,000
- 1976 NBC $125,000
- 1977 CBS $162,300
- 1978 NBC $185,000
- 1979 CBS $222,000
- 1980 NBC $275,000
- 1981 CBS $324,300
- 1982 NBC $400,000
- 1983 CBS $368,200
- 1984 ABC $525,000
- 1985 NBC $550,000
- 1986 CBS $600,000
- 1987 ABC $645,000
- 1988 NBC $675,000
- 1989 CBS $700,400
- 1990 CBS $700,400
- 1991 ABC $800,000
- 1992 CBS $850,000
- 1993 NBC $850,000
- 1994 NBC $900,000
- 1995 ABC $1,150,000
- 1996 NBC $1,085,000
- 1997 Fox $1,200,000
- 1998 NBC $1,291,100
- 1999 Fox $1,600,000
- 2000 ABC $2,100,000
- 2001 CBS $2,100,000
- 2002 Fox $2,200,000
- 2003 ABC $2,200,000
- 2004 CBS $2,300,000
- 2005 Fox $2,400,000
- 2006 ABC $2,500,000
- 2007 CBS $2,600,000
- 2008 Fox $2,700,000
- 2009 NBC $3,000,000
- 2010 CBS $2,800,000
- 2011 Fox $3,000,000
- 2012 NBC $3,500,000
- 2013 CBS $3,800,000
- 2014 Fox $4,000,000
- 2015 NBC $4,500,000
- 2016 CBS $5,000,000
- 2017 Fox $5,000,000
- 2018 NBC $5,200,000
- 2019 CBS $5,250,000
- 2020 Fox $5,600,000
- 2021 CBS $5,500,000
- 2022 NBC $6,500,000
- 2023 Fox $7,000,000
- 2024 CBS $7,000,000
700万ドルといえば、今のレートでは約10億円だ。CM一本に10億円。とてつもない金額だ。スーパーボウルの広告費用が非常に高い理由はいくつかある。主な要因は、まず視聴者数の多さだ。スーパーボウルはアメリカで最も視聴されるテレビイベントで、1億人以上が視聴する。この視聴者数は、広告主にとって非常に魅力的だ。広告が放送されると、アメリカの人口の約三分の一がそれを見ていることになる。
それから、数だけでなく文化的影響力もあるからだ。スーパーボウルでの広告は、単なる広告以上の役割を果たす。多くの広告が文化的アイコンとなり、話題になることが多く、広告自体がイベントの一部となる。多くのメディアが、スーパーボウルで放送されたCMを取り上げるために非常に高い露出と認知度を得ることができる。また、デジタルメディアでの波及効果もある。スーパーボウルのCMは、テレビ放送だけでなく、YouTubeなどのソーシャルメディアで再生され、共有されることが多く、長期的な視聴者の関心を獲得できる。
そして大きいのは、独占的な広告機会だ。スーパーボウルの広告枠は限られており、競争が激しい。この独占性と高い需要は、広告料金を押し上げる一因となっている。
スーパーボウルのCMで思い出すのは、Appleのマッキントッシュの発売広告、「1984」だ。この際にスティーブ・ジョブスは、広告費の$525,000の支出を取締役会に認めさせることに苦労したようだ。このために、2本の広告スポットを購入したが、最終的には1本を売却して、「1984」は一回しか放送されていない。しかし、この広告は20世紀を代表するテレビCMと言われている。
「1984」CMは、ジョージ・オーウェルの小説「1984年」に触発されたディストピアの世界を描いている。映像は、全体主義的な社会を支配するビッグブラザーに従う無表情な群衆を映し出す。当時は、ビッグブラザーはコンピューター業界を支配するIBMをイメージしていたと言われている。
無彩色の画面に、白と赤のスポーツウエアの女性が登場し、ビッグブラザーのスクリーンに向かってハンマーを投げる。これは、マッキントッシュが既存のコンピューター業界の慣習や権力構造を打ち破ることを象徴している。
このCMは、映画監督のリドリー・スコットによって監督された。彼は、その当時「ブレードランナー」でのディストピア的な映像で知られていた。当時も話題の映画監督だ。彼に制作を依頼し、CMの制作には約90万ドルの制作費がかかった。この金額は、その当時としては非常に高額だった。
「1984」は一度の放送にもかかわらず、大きな注目を集め、広告としての成功だけでなく、文化的な現象となった。その後の広告制作に大きな影響を与え、クリエイティブなストーリーテリングとビジュアルの重要性を業界に示したと言われる。また、Appleの反権威主義的で革新的なブランドイメージを確立するのにも寄与した。このCMを見た時の印象は今も色褪せない。この広告が、スーパーボウルを広告のショーケースとして確立し、広告主がクリエイティブなコンセプト広告を出すきっかけとなったことは間違いない。
毎年、試合だけでなくハーフタイムショーと共に、放送されるCMはスーパーボウルの楽しみだ。日本ではCMは放送では見られないので、後からYouTubeで見るのを楽しみにしている。
2024年のスーパーボウルは、DAZNで見られるが契約していないので、日本テレビの2月13日(火)深夜枠の録画で見ることになる。編集されてしまうので、ハーフタイムショーもカットされてしまうので、これも後からYouTubeだ。