OpenAIの年商20億ドル

by Shogo

OpenAIは、2023年12月に年商で20億ドルを達成し、2025年までに、この数字を倍以上にする見込みと報じられた。これにより、OpenAIは、GoogleやMetaなどのIT企業と並ぶ、歴史上最も成長が速い企業の一つとなった。

しかしながら、OpenAIはAIモデルの構築と運用にかかる膨大なコストのため、依然として赤字企業だ。Microsoftは、OpenAIの主要な支援企業として、これまでに最大130億ドルを出資している。また、OpenAIは最近、資金需要に対応するために株式売却を行なった。この際には企業価値は860億ドルと評価されている。

OpenAIは、イーロン・マスクなどの資金提供を受けて2015年に非営利のAI研究ラボとして設立された。そして、2020年に営利部門を設立している。先日のサム・アルトマンCEOの解任もこの非営利と営利の企業の方向性について社内で齟齬があったことが原因となっている。前の取締役会メンバーが会社を去ったことで、今は完全な営利企業と言って良いのだろう。

OpenAIの週間アクティブユーザーは1億人を超えており、多くの企業もChatGPTなどのOpenAIのサービスを使用している。アルトマンCEOは、フォーチュン500企業の92%がOpenAIのサービスを利用していると発言していた。これは、Microsoft並みにすごいことだ。これは、コンシューマーやビジネス分野での生成AIテクノロジーに対する需要の高まりを反映しているのだろう。

このため、OpenAIだけでなく、GoogleやMetaのようなIT大手企業や、Anthropic、Mistral、Cohereのような新興企業もコンシューマー用だけだなく、ビジネスAI分野に参入している。Googleも、月額19.99ドルのプレミアムサブスクリプションモデルで利用できる生成AIシステム「Gemini」を発表したばかりだ。

企業が、生成AIテクノロジーを使用する分野は多岐にわたる。まず、簡単に導入できるのが、カスタマーサービスの自動化だ。ChatGPTや他のAIモデルを使って、カスタマーサポートの自動化や効率化を図っている。これには、顧客からの問い合わせに対する自動応答や、FAQの作成などが含まれる。

ついで、マーケティングの分野でデータ分析とインサイトの抽出に使われる。大量のデータを分析し、ビジネスインサイトを抽出するためにAIを活用している。これには、市場動向の分析、顧客行動の予測、競合他社の分析などが含まれる。これも、手作業では不可能な大量のデータを読み込んで分析できるAIの能力の活用だ。

またマーケティング分野の他の使用例では、コンテンツ生成だ。 AIを使用して、ウェブサイトのコンテンツ、マーケティング資料、プレスリリースなどを生成する。重要なキーワードの選定と埋め込みやテンプレートを活用して効率的に作成できるのが強みだ。これにより、コンテンツ作成の時間とコストを削減し、マーケティングの効率化が図れる。

さらに、プロダクト開発とイノベーションにも、生成AIは力を発揮する。新製品の開発や既存製品の改善で使われている。AIは、消費者のニーズや市場のトレンドを、顧客の声やメディアやWEB上のデータを分析し、製品開発における決定を支援することができる。

これだけにとどまらず、内部プロセスの効率化も大きな適用分野だ。社内の様々なプロセスを自動化し、効率化できる。これには、ドキュメント管理、スケジュール調整、内部コミュニケーションの最適化などが含まれる。また、リスク管理とセキュリティにもAIが利用されている。

さらに、採用プロセスの効率化や人材管理にAIを使用する。AIは、履歴書のスクリーニング、候補者のマッチング、人事データの分析などに利用される。これも、適切なアルゴリズムを人事専門家が組み込むことができれば、人間の手を煩わせることはなくなる。

このように、個人が検索の代用やさまざまなタスクに使用するだけでなく、ビジネス用途は多くの分野がある。

その一つの例として、Disneyのストリーミング・サービスでの使用例だ。Disneyは、Disney+やHuluの広告サービスで「Magic Words」と呼ばれるツールをテストしているそうだ。これは、AIテクノロジーと機械学習を使用して、Disneyの映画やテレビシリーズのライブラリ内のシーンを分析し、タグ付けするという。

Magic Wordsは、シーンの分析とタグ付けして、その情報をメタデータとして使用する。この結果、Disney+とHuluでのコンテキスト広告が可能になる。広告主は、メタ情報に基づいて、視聴者の感情や関心に合わせて広告を表示することができる。これにより、広告主は一般的な人口統計に基づく広告から、特定のオーディエンスに合わせた広告へと移行することができる。これが広まれば、第三者クッキー廃止後の広告にも大きな影響を与えることができる。

Disneyが、Magic Wordsで狙っているのは、広告収入低下の対策だ。伝統的なテレビ視聴者数の減少により、広告収入は、Disneyだけでなくテレビ放送の広告費は減少している。Disneyは、Magic Wordsを使って、効率的かつ有効な広告が可能になれば広告の売上を拡大できると考えているのだろう。

このようなDisneyのAIテクノロジー活用のような事例はたくさんあり、今後ますます多くの分野で活発に使われる。このために、OpenAIだけでなく、多くのIT企業が、大企業もベンチャーも含めて、この分野で投資を拡大することは確実だ。

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