TikTokが60分動画をテスト

by Shogo

TikTokが一部ユーザー向けに60分動画のアップロードテストを開始した。これは、短尺動画の王者から長尺動画へ進出する戦略的な動きと言えるだろう。TikTokは2016年のリリース以来、15秒から始まり、徐々に尺を伸ばしてきた。短尺ならではのインパクトと視聴継続率の高さで急成長を遂げ、今や月間アクティブユーザー数15億人を誇る巨大プラットフォームへと成長した。これは、それまでなかった短尺動画を、音楽やフィルターで簡単に編集できる機能が備わっていたからだ。つまり、YouTubeに対して短尺動画で差別化してきた。

しかし近年、料理デモ、美容チュートリアル、教育コンテンツなど、より長い尺を必要とするコンテンツを求めるクリエイターの声が高まっていたそうだ。YouTubeに流れていたクリエイターを取り込むことも、長尺動画対応の狙いの一つと考えられる。TikTokは、クリエイターにより多くの表現の自由と収益化の機会を提供することで、プラットフォームの多様性と魅力を高めようとしているものと考えられる。

また、コンテンツの多様化でユーザーの選択肢を増やすことも狙いだろう。 TikTokは、短尺動画に特化してきたが、60分動画を可能にすることで、コンテンツの多様化を図ることができる。これは、ユーザーにとってより多くのエンターテイメントのオプションとなる。

60分動画のテストは、一部のユーザーに対してのみ行われているようだ。すべてのユーザーがすぐに60分動画をアップロードできるようになるわけではなさそうだ。テストでは、以下の機能が追加されている。

  • 横長フルスクリーンモード ユーザーは、動画を横長フルスクリーンモードで視聴することができる。これは、特に長尺動画を視聴する際に便利な機能となる。
  • スキップ  ユーザーは、動画の任意の箇所へスキップすることができる。これは、長い動画の中で特定の箇所を見つけたい場合に役立つ。
  • 早送り機能  ユーザーは、動画を早送りすることができる。これは、長い動画を早く視聴したい場合に役立つ。

60分までの動画アップロードが可能になれば、テレビ番組の丸ごと1話投稿など、新たなコンテンツ形態が生まれるだろう。テレビ局は既にTikTokを視聴者へのプロモーションのツールとして活用しており、長尺動画対応はさらなるコンテンツ共有を後押しすることになる。一方で、YouTubeとの差別化が難しくなるリスクもある。TikTokの独自性を失わずに、いかに長尺動画市場に切り込めるかが問われるだろう。

報道によれば、TikTokの60分動画テストに対しては、ユーザーから賛否両論の声が上がっているという。「TikTokらしさが失われるのでは」という懸念がある一方、「もっと深いストーリーが見られる」と期待する声もある。TikTokはインターフェイスの最適化も進めており、ユーザー体験を損なわないよう努めていると発言している。テスト結果を踏まえ、正式リリースに向けた改善を重ねていくことだろう。

短尺動画の王者TikTokが、60分動画という新たな挑戦に乗り出したのは、YouTubeを意識した戦略的な動きであり、動画プラットフォーム競争に大きなインパクトを与える。クリエイターに新たな表現の場を提供し、ユーザーにより多様なコンテンツ体験を届けられるか。TikTokの今回のテストで、どのような決定をするか興味深い。

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