Metaが、InstagramのクリエイターがAIチャットボットを作成できる新機能「AI Studio」のテストを米国で開始すると発表した。AI Studioを使うと、クリエイターは自分のAIアバターを作成できる。
ユーザーはInstagramのメッセージ機能から、そのAIアバターとチャットできるようになる。この応答をするのはAIチャットボットであることは明示され、「AIが生成した返答には不適切なものが含まれる可能性がある」と注意書きも表示されるとのことだ。これは、現時点では必要だろう。
ザッカーバーグCEOは「クリエイターが多くのフォロワーから受ける質問に答えたり、楽しく会話したりするのに役立つAIを開発してきた」と説明。将来的にはクリエイターだけでなく企業も自社のAIを作成し、コミュニティや顧客とのコミュニケーションに活用できるようにしたいとしている。
また、ザッカーバーグCEOは「ユーザーは多様な人々や企業とやり取りしたいと考えており、そのためには興味関心を反映した様々なAIが必要になる」と述べ、ユーザーの関心事に合わせて特化型のAIを提供していく方針を示した。自分自身をモデルにしたAIだけでなく、別の人物やキャラクターを模したAIの作成も可能になるようだ。
MetaはAI Studioのテストを米国の約50人のクリエイターと一部のユーザーから開始し、数ヶ月かけて対象を拡大していく予定だそうだ。8月までには本格的に機能を公開したいとしている。SNSでのAIの活用が一般ユーザーにどのように受け入れられるのか、これは面白い取り組みなる。
しばらく前に、このプロジェクトの初期バージョンのチャットボットをリリースするため、著名人を活用した。WastedのようなミームアカウントやテクノロジークリエイターのDon Allen Stevenson IIIと協力していた。これの開発が続き、今回のAI Studioになったようだ。
Metaは昨年の開発者会議でAI Studioを紹介し、その時点では企業がカスタムチャットボットを構築できるようにすることを目的するとしていた。今回のプロジェクトはその流れに沿ったもので、企業やクリエイターがAIアバターを使って、効果的なエンゲージメントの方法を見つけるためのツールを提供することになる。
だが、ユーザーが必ずしも自分のアイデンティティを反映しないAIキャラクターをデザインできるようにする計画もあると言っているが、自分のキャラクターのAIアバターが反応するのが面白いので、企業を除いた個人のアカウントは、別のアバターを作って使うのは想像できないし、面白くもないと思う。どのような用途を意図しているのだろうか。
それはさておき、この取り組みの目的は、クリエイターがファンとの直接のやり取りを助けることだ。多くの人気アカウントが受け取るメッセージの量を考えると、AIチャットボットはエンゲージメントを維持するための実用的な解決方法になる。たしかに、面倒な作業に自動化は歓迎されるだろう。当然、企業も同様だ。メッセージの自動応答では面白くないし、むしろ逆効果だが、AIが気の利いたことを反応するれば受け入れられるだろう。
InstagramのAIキャラクターは、企業にも有効だし、すぐに普及すると思われる。だが、それだけに留まらず、有名人のクリエイターだけでなく、一般ユーザーも興味を持つと思われる。少なくとも私は作ってみたい。AIの技術が発展するにつれて、ユーザーによりパーソナライズされ、魅力的な新しいツールになると思う。
InstagramでのAI StudioとユーザーによるAIチャットボットの立ち上げは、MetaがAI体験を提供することを意味する。これも、AIを取り入れた機能がないと時代においていかれると判断しているからだろう。