AIと著作権

by Shogo

AIの普及にともなって、AIと著作権をめぐる問題が浮上している。特に、AIを用いたコンテンツ生成において、既存の著作物が無断で利用されるケースが増えており、出版社やメディア企業が訴訟を起こすケースも多い。New York TimesもOpenAIを訴えている。

最新事例は、米国のメディアコングロマリットであるCondé Nastは、AIを用いた検索スタートアップのPerplexityに対し、著作権侵害を理由に警告書を送付したことだ。同社は、PerplexityがCondé Nastの出版物のコンテンツを無断で利用し、AIによる回答生成に使用していると主張している。

同様の問題は、ForbesとPerplexityの間でも発生していた。Forbesは、Perplexityが同社の記事を盗用し、適切な引用なしにAIチャットボットの記事を生成していると非難している。

調査によると、PerplexityをはじめとするAIスタートアップの多くが、ウェブサイト所有者がボットによるコンテンツのスクレイピングをブロックするために使用する「robots.txt」機能を無視していることが明らかになった。

これにより、AIスタートアップが著作権者の許可なくコンテンツを収集し、AIモデルのトレーニングや回答生成に利用している実態が浮き彫りになっている。この実態はWired誌が詳しくレポートしている。これを読む限りは、明らかに無法行為を行なっているようだ。

Condé NastのCEOは、AIスタートアップに対する訴訟が結審するまでに、多くのメディア企業が財政的に破綻する可能性があるとメディアに対して発言した。彼は、議会に対し、AIスタートアップにコンテンツ使用料の支払いを求め、将来的にライセンス契約を結ぶよう要請した。

また、米国では、ジャーナリスト、アーティスト、ソングライターをAI企業からコンテンツの無断使用から保護することを目的とした「COPIED Act」が上院議員によって提出されている。これについても、AI技術の発展と著作権保護の両方の観点から、これから具体的な議論が始まるものと思われる。

AIがコンテンツを無断で使用することは、メディア企業の経営に深刻な影響を与える可能性がある。まず、収益の減少が予想される。AIスタートアップがメディア企業のコンテンツを無断で利用し、独自の記事を生成することで、元のコンテンツへのトラフィックが減少する。これにより、広告収入や課金収入など、メディア企業の主要な収益源が脅かされることになる。

さらに、法的対応のコストも考えなければならない。メディア企業は、著作権を守るために、AIスタートアップに対する法的措置を取らざるを得なくなっている。訴訟には多額の費用がかかり、経営の負担となることは明白だ。

さらに、AIが無断でコンテンツを利用し、大量の記事を生成することで、オリジナルのコンテンツの価値が相対的に低下してゆくだろう。多分、ChatGPT以来、ネット上のコンテンツのかなりの割合はAIの自動生成かも知れない。これにより、メディア企業のブランド価値や信頼性が損なわれる恐れがある。

AIと著作権をめぐる問題は、OpenAIやGoogleなどの大手AI企業だけでなく、Perplexityのような新興のAIスタートアップとの間でも続くと予想される。出版社やメディア企業は、知的財産権を守るために、法的措置を検討しつつ、AIスタートアップとのライセンス契約締結などの対応を迫られている。

一方で、Financial TimesやAxel Springer、Associated Press、Vox Media、The Atlanticなどの一部の出版社は、AI企業とのライセンス契約を締結する動きも見られる。

AIと著作権の問題は、今後もテクノロジー企業とメディア企業の間で議論が続くと予想される。法的な枠組みが出来るまで、まだ時間がかかるであろうから、AI企業が著作権を尊重し、適切なライセンス契約を結ぶことが不可欠だ。同時に、出版社やメディア企業も、AIの発展を踏まえた新たなビジネスモデルを模索していく必要がある。

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