Adobe Premiere Proに生成AI搭載

by Shogo

最近、Adobe Premiere Proの独習を始めた。Photoshopと同じ会社のソフトだから、インターフェースが似ているので分かりやすい。違いは、素材を直接編集するのでなく、間接的に扱うことが大きく違う。ただ、これもPhotoshopで新規レイヤーを使って編集することを考えれば同じとも言える。

そのAdobe Premiere Proは、2024年末までに生成AI機能を導入する予定だそうだ。この新機能により、クリップの延長やプロンプトによる生成、さらには画像から動画への変換が可能とななるという。また、ウェブ版でも同様の機能が提供される予定で、これにより動画制作がより効率的になるだろう。

新たに導入されるPremiere Proの生成AI機能は、Firefly Videoモデルを基盤にしており、ユーザーは簡単なプロンプトや画像を使用して、動画を生成したり、編集したりすることができる。すでにPhotoshopではFirefly を組み込んだバージョンをベータ版でしばらく前から提供している。これにより画像編集の自由度が増し、驚くほど簡単に意図した画像が作れるようになっている。

Firefly Videoモデルでは、「Generative Extend」機能があり、動画のクリップに最大2秒の追加フッテージを自動で生成することが可能だという。この機能により、音楽トラックに合わせて動画のタイミングを調整したり、スムーズなトランジションを実現することができる。今は、Midjourneyなどで画像生成して、それをRunwayで動画化しているが、これがAdobe Premiere Proだけでできるようになれば便利だろう。ただし、本当に使えるかどうかは、その生成された画像・動画の質だから登場するまでは分からない。

また、ウェブ版ではFirefly Text-to-VideoおよびImage-to-Videoが利用可能となり、プロンプトまたは画像から5秒間の動画を生成することができる。これらの機能では、撮影アングルやシーンの詳細を細かく指定でき、よりクリエイティブな表現が可能だそうだ。たとえば、既存の映像から1フレームを参照し、それを元に新しいクリップを生成することができるため、映像制作の自由度が大幅に向上する。これは、Runwayなどの同様なサービスの競合となるだろう

Premiere ProでAI生成機能を活用する具体的な方法として、まずは生成拡張機能が便利だろう。たとえば、動画のクリップがサウンドトラックと少し合わない場合、この機能を使えば、クリック一つで映像を延長し、理想的な長さに調整することが可能となる。また、トランジションの追加も簡単に行えるようになる。オーディオ編集の際には、AIによって無音部分が延長され、環境音を自然に作り出すことができるため、よりスムーズな編集が期待される。これが、実用に耐えるものなら映像編集者の夢のツールになる。

さらに、オブジェクトの追加や削除もAIにより手軽に行うことができるようだ。たとえば、映像の中にある不要な要素、たとえばブームマイクやロゴといったオブジェクトを簡単に削除することが可能となる。また、シーンに新しいオブジェクトを挿入する場合も、テキストで指示を入力するだけで、背景や風景を変更したり、特定のオブジェクトを他のものに置き換えることができる。たとえば、背景に都市の風景を挿入したり、不要なゴミ箱をメールボックスに変換したりすることも簡単にできる。これは、すでに画像編集において、Photoshopでできていることが、映像でも実現することになる。

生成AIの導入に伴い、Adobeはコンテンツクリエイターを保護するための新しいポリシーを導入している。特にAdobe Stockでは、AI生成コンテンツがニュース性のある動画・画像を生成することを禁止しており、人々を誤解させるようなコンテンツの使用も厳しく規制されている。さらに、Adobeは監視チームを強化し、生成AIを利用した悪用や不正行為を防ぐための体制を整えていると発表している。これにより、フェイクニュースなどのツールになることを防ぐことが大きなテーマとなっているようだ。

映像生成AIとしては、すでにRunwayや、xAIのGrok 2といった競合製品も存在し、こちらはより長尺の映像を生成できるほか、パブリックな人物や特定のテーマに関する制限が少ない点が特徴だ。しかし、これにはフェイクニュース、誤情報や著作権侵害に悪用されるリスクも含まれているため、Adobeのような厳格なポリシーは存在しない。Adobeの生成AIは、こうした懸念に対して厳格な制約を設けることで、企業やクリエイターは安心して使うことができることを売りにするようだ。これは、すでに映像制作や広告制作でデファクトとなっている企業の責任ということなのだろう。

Adobe Premiere Proに生成AI機能が搭載されることで、映像編集の過程で一貫した形で映像生成ができるメリットが大きい。シェアの高い映像編集のAdobe Premiere Proが生成AI対応することは、映像制作のプロセスを大きく変革することになる。特に先に述べたように、映像クリップの延長、オブジェクトの追加や削除、さらにはプロンプトや画像から新しい映像を生成する機能などが、映像制作のスピードと質を大幅に向上させることになる。ただし、その生成される映像の質が問われるので早くデモを公開してくれないかと思っている。

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