車のスマホ化

by Shogo

車はネットワーク端末としてスマホ化が進んでいるが、いよいよ決済端末としての機能も実装する。世界的な車載決済のリーダー、Sheeva.AIが、名古屋に本社を置く萩原エレクトロニクスと組んで日本市場に本格参入する。

Sheeva.AIは、車載決済サービスのグローバルリーダーとして、特許取得済みの車載決済プラットフォーム「SheevaConnect™」を開発している。このプラットフォームは、高精度の位置情報技術と車載デジタルウォレットを組み合わせることで、ドライバーがクルマの中から、駐車料金の支払い、ガソリンの給油、EVの充電、高速道路の料金所の通過、その他の小売サービスを、シームレスに利用できるようにするという。

Sheeva.AIは、すでにインドや米国で同サービスを提供しており、日本市場への本格参入を目指し、萩原エレクトロニクスと提携した。Sheeva.AIは現在、インドの自動車メーカーCitroënと提携し、同国のガソリンスタンドの半数以上でガソリン給油サービスを提供している。

SheevaConnectは、駐車スペース、ガソリンスタンドのポンプ、EV充電器など、車両の正確な位置を自動検出する。そして、車載画面やOEMのモバイルアプリ上で、ワンタッチするだけで決済やサービス提供装置の起動ができるようになるそうだ。

Sheeva.AIは、日本市場での拡大を加速するため、英国に本拠を置くビジネス開発コンサルティング会社のIntralinkと提携した。Intralinkは、グローバルな自動車およびリテールパートナーの幅広いネットワークを持ち、日本に企業を紹介することを専門としている。ここが、萩原エレクトロニクスとの提携をまとめたのだろう。萩原エレクトロニクスは、Sheeva.AIに2021年10月に出資しているが、今回追加出資を発表している。

Sheeva.AIの車載決済プラットフォームは、自動車産業のデジタルトランスフォーメーションにおいて重要な役割を果たすのかもしれない。クルマの中から簡単・安全に各種サービスの決済ができるようになることで、ドライバーの利便性が大きく向上するだろう。大都市では、あまりニーズがないが、車が主要な交通手段である地方都市では、それなりのニーズがあるのかもしれない。

また、Sheeva.AIの技術は、自動車メーカーや小売業者にとっても、新たな収益機会を創出する可能性がある。車内でのシームレスな決済体験を通じて、ユーザーエンゲージメントを高め、ブランドロイヤリティを向上させる手段として使える。なにしろ、地方都市では日常生活で車の中にいることが多いからだ。

日本は自動車大国であり、社会のデジタル化に貢献することになるかもしれない。それには、このSheeva.AIのプラットフォームに、どれほどの事業者が乗るのかが決め手になる。そのためには、パートナーである萩原エレクトロニクスの営業力にかかっているのかもしれない。

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