2025年のスーパーボウル(第59回スーパーボウル)は、いよいよ、日本時間では2025年2月10日(月)午前8時30分(現地時間 2025年2月9日)に開催される。すでにしばらく前からアメリカのメディアはこの話題一色だ。
そんな中におもしろいデータがあった。YouGov/Economistの調査によると、アメリカ人のうちスーパーボウルで最も楽しみにしているものとして、試合そのものを挙げた人はわずか30%で、CMを最も楽しみにしていると答えた人は26%、そしてハーフタイムショーを最も楽しみにしていると答えた人は18%だった。今年のハーフタイムショーには、先週の第67回グラミー賞で5部門を受賞したラッパーのケンドリック・ラマーが出演する。
つまり、CMを楽しみにしている人が、試合を楽しみにしている人より少しだけ少ないだけであり、また、人気アーティストのハーフタイムショーを楽しみにしている人よりも、はるかに多いと言うことだ。確かにスーパーボールのCMは翌日にはテレビ番組の中で紹介されて人気投票など行われるほど人気コンテンツとなる。このために広告主の特別なCMを1年かけて作っている。
それだけに広告料金も特別なものだ。2025年のスーパーボウルの30秒間の広告料金は、最高800万ドル(約11億円)と報じられている。これは前年の700万ドル(約10億円)を上回る金額だ。30秒のCMが11億円と言うのも信じられない金額だが、多分制作費も相当なものだろう。特に普段はCMに出ないようなハリウッドの大物スターも出演するCMが多いことから、そのようなキャスティングをすればさらに制作費が高くなる。
2025年のスーパーボウルでは、出稿する企業の数は80〜100社程度と推定されている。そしてすでに完売としばらく前に報じられている。番組として30秒が100本としてこの番組だけで広告の売り上げが1100億円と言うことになる。スーパーボウルを放送する放送局にとってはまさにドル箱だ
これだけのお金を払うのには当然広告主にとってもメリットがあるからだ。有名な例では当時はベンチャー企業だったAppleがMacintoshの新発売に向けてスティーブ・ジョブズの提案で2本のCMを購入したが、取締役会の反対で1本はキャンセルしたと言う話もある。だが、そのCMが大きな話題を呼んだ。それほどスーパーボウルと言うのは最強の広告メディアと言うことだ。
それは数字にも現れている。2024年のスーパーボウル(第58回)の視聴者数は、平均で約1億2,340万人に達し、過去最高を記録しました。また、少なくとも1分以上視聴したユニーク視聴者数は約2億1,000万人と推定されている。
当然、広告の露出の問題だけではなくて、スーパーボウルに広告を出せるほどの企業であるというブランド価値を高めるような効果もある。インターネット広告の普及でテレビ広告は不要になりつつあるという議論もあるが、認知度の低い企業や新製品の発売においてはテレビ広告の力は現時点ではまだ衰えていない。
さらに、スーパーボールの広告は高い価値があるから、多くの広告主が高額で買っている。
スーパーボウルの広告料金が高い理由
1. 圧倒的な視聴者数とリーチ力
スーパーボウルは毎年1億人以上が視聴し、アメリカ国内だけでなく世界中で注目されるイベント。この規模の視聴者に一度にリーチできる機会は他にほとんどない。
2. 費用対効果の高さ
30秒の広告料金は高額だが、一視聴者あたりのコストで見ると非常に効率的。例えば、スーパーボウルのCMでは一視聴者あたり約4.5~5.6円とされ、通常のテレビ広告やインターネット広告よりも割安な場合がある。
3. 広告の波及効果
スーパーボウルCMは放送後もSNSやYouTubeなどで再生され、話題を呼び続ける。これにより、広告の影響範囲がさらに広がり、長期間にわたって注目を集めることが可能。
4. ブランド価値向上
スーパーボウルCMは「最高品質」の広告として認識されており、出稿するだけでブランドイメージを向上させる効果がある。多くの企業が巨額を投じて制作するため、視聴者に強い印象を与えることができる。
5. プラットフォームとしての重要性
スーパーボウルCMは単なるテレビ広告ではなく、デジタルキャンペーンやSNS活動などを含む大規模なマーケティングプロジェクトの一部として機能する。このため、多くの企業にとって戦略的な投資となる。
明日の試合が、カンザスシティ・チーフス(AFCチャンピオン)とフィラデルフィア・イーグルス(NFCチャンピオン)のどちらが勝つか分からないが、70%のアメリカ人にとって試合の帰趨はどうでも良いということだ。年に一度のお祭りだ。
第59回スーパーボウル
- 会場: シーザーズ・スーパードーム(旧メルセデス・ベンツ・スーパードーム)
- 都市: アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズ
- 収容人数: 約74,925席
- このスタジアムでのスーパーボウル開催は8回目、ニューオーリンズでの開催は11回目となり、マイアミと並んで最多記録。