日経トレンディは2021年の「ヒット商品ベスト30」で、1位にTikTokで商品が売れる「TikTok売れ」を選んだ。TikTokがきっかけとなって、たくさんの商品が今年売れたようだ。
売れたようだと言うのは、あまりよく認識していないからだ。当然私などTikTokのヘビーなユーザではない。たまに研究のために見ているが、興味があるものが少ない。その中でも唯一興味があったのは、話題になったプール掃除動画だ。これは音も心地よくって何十回も見てしまった。
話が逸れたが、「TikTok売れ」だ。売れたものには音楽もあり、和田アキ子の「YONA YONA DANCE」の大ヒットは、TikTokが発信源のようだ。それ以外にも、地球グミの人気や、筒井康隆の「残像に口紅」の人気もTikTokがきっかけだという。
TikTokの主な利用者は10代・20代で、それが1,000万人近くもいるわけだから、流行の発信力は強い。
これは世界的に見ても同じで、TikTokがきっかけで流行始めるものが多い。その1つはレタス水だと言う。きっかけは、今年の5月にロンドンに住む21歳の女性が、レタスをマグカップに入れて、味付けにミントティーのティーバックを加え、そこに熱湯を注いで飲んでみせた。そして、そのまま眠ってしまう動画を投稿した。これがきっかけとなって、#lettucewaterが付いた動画が何百も投稿され、3,100万回以上も再生された。
多くの睡眠に問題が悩む人が、レタス水に飛びついたわけだ。それを試した人のよく眠れると言う動画がさらに投稿されて、レタス水は睡眠の特効薬としてTikTokでは認定されてしまったようだ。
ネットの記事の所では、医者や睡眠の専門家は、レタス水は害は無いものの、効果があると言う証拠は全くないと発言している。
レタスを食べたり、熱湯に浸して飲んでも睡眠に効果があると言う研究は全くないと言う。しかし、レタスを鎮静や痛み止めとして使う民間療法は長い間知られていると言う。このことについては、日本ではそのようなことがないのか、私が知らないだけなのかも知らないが初耳だ。
関連すると思われる研究は2017年の韓国におけるネズミを使ったものだという。TikTokでのビデオでもネタにされているらしい。この韓国の研究で、ネズミにレタスの種と葉に加えてペントバルビタールと言う鎮静睡眠薬を与えたところ、ペントバルビタールだけで、同時にレタスの種と葉を食べなかったネズミより20分余計眠ったと言う研究結果があると言う。
しかし、この研究ではそもそも陣痛睡眠薬を与えているわけで、さらにネズミと人間は大きく違う。このことからレタスのに睡眠の効果があると言う結論を導くのはかなり難しい。
しかしながら多くの人が効果を感じているのは、多分プラセボ効果と言う事なのだろう。効果があると信じれば、効果が生じる。
レタス水を飲んでも、害は無いようなので、それに効果があると信じて飲んで、睡眠が改善するのであればそれは良いことだ。
TikTokに限らずソーシャルメディアの力の1つは、このような誰かの思いつきやデマが瞬く間に広がってしまうことだ。それがレタス水のように無害なものであれば良いが、もし健康に害をもたらすものであったり、社会悪だったりする場合には大きな問題となる。ソーシャルメディアに対応する私たちが考えなければいけない事は、その情報の中身を自分で吟味した上でシェアをすると言うような心構えだろう。