マクロミルが今月発表した調査結果によると、テレビのネット接続率は41.8%に達している。この様なテレビは、コネクティッド・テレビと呼ばれる。現時点でネットにテレビを接続していない人に、今後の意向を聞くと27%は接続したいと言う答えていると言うことで、近いうちにコネクティッド・テレビが50%超えてきそうだ。
テレビを使って動画サービスを見ている人は32.5%。インターネットにつながったテレビを持っていても動画を視聴してない人が10%近くいると言うことになる。このような人は、単にインターネット端末として使っているだろうか。
動画サービスから見ると、テレビでの視聴が多いのが、Amazon Prime Video、 Netflix、 Huluで、半数以上がテレビで視聴する。これは映画などの長尺のコンテンツで、今までテレビ画面で見る習慣が身に付いているからだろう。
YouTubeやTVerなどはテレビでの視聴が3割程度。これらのサービスは、インターネットのサービスとして、PCやタブレット、スマホで見る様だ。これは、コネクティッド・テレビ以前からの習慣があるからだろう。この2つのサービスの使用デバイスの違いは、感覚的に理解できる。
この調査で興味深いのは、テレビで動画サービスを視聴している人では、民放の番組を見る時間と動画サービスを見る時間の割合が、それぞれ49.2%と50.8%となり、わずかに動画サービスを見る時間が長いことだ。特にYouTubeを見る時間は18.2%と、長い時間が費やされている。その意味で、通常のテレビ番組がつまらないから、インターネット接続をしたとも考えられる。
この状況を見ると、すでにYouTubeは1つのチャンネルとしてインターネット接続のあるテレビの使用者では、地位を確立しているようだ。
民放見る時間が49.2%で、県によって違うが数チャンネルの合計だ。それを考えると、YouTubeの18.2%は、1つのテレビのチャンネルとも言うべき存在になっていることがうかがえる。
コネクティッド・テレビを実現するための、テレビのインターネット接続は様々な方法がある。主流なのはやはり台数の増えているスマートテレビだ。2021年2月のITXの調査によれば、スマートテレビの普及率は24.3%。約4台に1台がスマートテレビになっている。アメリカの調査会社Statistaによれば2018年段階で世界で売られるテレビの70%はスマートテレビだったと言うことだ。生産自体が、スマートテレビ以外は、もはやないのかもしれない。
スマートテレビとは形は家庭用のテレビだが、中身は要はパソコンだようなものだ。あるいはほとんどがAndroidのOSで動いているので、大きなスマホと言った方が良いのかもしれない。自社でシステムを開発する必要がないので、Androidを採用して作った方が楽なのだろう。
しかしインターネットを接続したコネクテッド・テレビは、スマートテレビに限らない。テレビを買い替えなくても、ゲーム機器やAmazonやAppleのストリーミングデバイスをつなぐ方法もあれば、ケーブルテレビのセットトップボックス経由と言う方法もある。コネクテッド・テレビは現時点では41.8%だが、様々な接続方法があるので、先に書いたように、半数以上がコネクテッド・テレビになるのはすぐだと思われる。ストリーミングデバイスであれば、大した投資でもない。
そのような状況が生まれるとYouTubeのメディアとしてますます重要になる。YouTubeが2006年に登場したときは、著作権の問題もあったが、誰がそのようなコンテンツを見るのかよくわからなかった。つまり素人が作ったコンテンツを見ると言う発想そのものがなかった。
その時点では、その理解が正しくて、最初のうちは著作権を無視したようなテレビの録画などが中心だったと思う。だが、そのうちに、個人の作るコンテンツは受けると言うことがわかってきた。コンテンツのロングテールがYouTubeで実現したと言うことだ。そのような性格は今後も残るが、YouTubeがこれだけ家庭に浸透すると、メジャーなコンテンツサプライヤーが、プラットフォームとしてYouTubeを利用してビジネスを行うことが、もっと一般化するだろう。もはや、放送に変わるプラットフォームだ。
これからの世代は、YouTubeがテレビのリモコンにあり、他の民放のテレビのチャンネルとの違いすら理解せずに、1つのチャンネルとして認識していくのだろう。