Discovery +がスポーツ配信参入

by Shogo

Warner Mediaと経営統合するDiscoveryには、今後は、映像配信サービスとしてDiscovery +とHBO Maxが共存することになる。これを統合するのか、ブランドとして残してサービスするのか。これからの経営戦略である。その際に思ったのは、Discovery +がスポーツやドキュメンタリーのチャネルとなり、HBO Maxが映画テレビ番組のチャネルとなるという棲み分けだ。

それに関連するニュースを読んだ。Warner Media傘下のTurner Sportsがアメリカサッカー協会と8年間の契約を結び、TNT/TBSとHBO Maxを使って男女のアメリカ代表の試合を、英語放送としては独占で放送することになったと言うことだ。

契約金は2億ドルで、1年に直すと2,500万ドル、約30億円と言うことになる。日本ならサッカーの代表選の価値はもう少し高いが、アメリカのサッカーの人気を考えるとこの程度なのだろう。

この契約の初年度は2023年。これが、HBO Maxにとってライブ・スポーツ配信への参入となる。HBO Maxは毎年20試合以上のアメリカ代表サッカーチームの試合を配信する。半数は、TNTかTBSとの同時放送で、残りの10試合程度は、HBO Maxの独占放送となるとの事だ

この放送権契約にはアメリカ代表サッカーチームのデジタル化権やハイライト契約も含まれており、Warner Mediaの他の放送でも利用できると言う事だ

HBO Maxは2020年5月開始だから、まだ2年もサービスしていない。2021年年末で契約者数は7380万人に達した。現時点では46カ国に進出しているが、日本市場についてはU-NEXTとコンテンツ契約を結んでいる。

映像配信サービスの競争は大変厳しいものだ。新規参入しているHBO Maxは、他の新規参入事業者とともに、先行企業と戦わなければいけない。Netflixの契約者数は2億2200万人に達し、ディズニープラスも1億1800万人の契約者がいる。強大な先行事業者との戦いは厳しいものだろう。

このような競合との戦いのために映画・テレビだけでは難しいと判断したのかもしれない。あるいは、最初から映画・テレに一本でと考えていなかったのかもしれない。すでにコンテンツの取り合いになっているアメリカンフットボールや大リーグ野球、バスケットボール、ホッケーなどではなくサッカーの代表選がやっと取れたということだったのかもしれない

このHBO Maxのスポーツ配信参入は、以前より計画されており、現在話を進んでいるDiscoveryとの経営統合の前だと思われるので、もちろんこれは変更になる可能性もある。

日本でも、DAZNはサッカー日本代表のワールドカップ予選の契約を主催するAFCと結んでいる。ホームの試合については、テレビ朝日にライセンスしたが、注目の集まる3月24日のアウェイでのオーストラリア戦について、DAZNが独占で放送することを改めて発表した。これはサッカー協会会長などが無料配信を求める発言をしていることを受けてのものだ。当然DAZNとしては、目玉のコンテンツとして、高い権利金を払っているので、そのような要求は飲めないのは当然のことだ。

今回発表されたTurner Sportsとアメリカサッカー協会の契約でも約半数の試合がTBSかTNTで無料放送されることは、すべて有料にしてしまうとファンから苦情が来る可能性があるからだと思われる。

有料放送の目玉コンテンツとしてスポーツが使われる現状考えると、スポーツの公共性やパブリックアクセスを考えなければいけない。ただ今回のサッカー日本代表の放送権については、AFCが丸ごとDAZNに販売したのであって、日本サッカー協会の権利ではないため、非常に苦しい立場だと言う事は理解できる。

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