オンラインから始まって、リアル店舗に進出をしているAmazonが、リアル店舗の戦略を変えるようだ。今週ロイターが伝えたのは、Amazonのリアル書店のAmazon Booksやポップアップショップ、アマゾンで人気のある商品を扱う4-Starの店舗68店を閉店すると言うことだ。
Amazonはリアル書店を本拠地のシアトルで2015年に立ち上げ、その後、アリゾナ、カルフォルニア、コロラド、ワシントンDC、イリノイ、 メリーランド、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、オレゴン、テネシー、テキサスと拡大してきた。その後、リアル書店だけではなく、食品スーパーやコンビニも開始している。
このニュースに対して、Amazonは、無人コンビニのAmazon Go、ファッションストアのAmazon Style、買収したWhole Foods、生鮮食料品のAmazon Freshに集中するとともに、レジを通ることなく決済をして買い物できる技術、Jusy Walk Outの普及に注力すると回答している。
Amazon Goは、2020年7月現在で26店舗、Whole Foodsは500店舗ある。Amazon Styleは2022年内にロスアンジェルスに最初の店ができる予定だ。Amazon Freshは2021年12月現在で23店舗。どれも、Walmartの34,000店に比べれば微々たるものだ。
オンラインストアから始まったAmazonがリアル店舗に進出しているのは、正直言って理由はよくわからない。そこがオンラインを制覇したAmazonにとってフロンティアだからと言う事しかない気がする。オンラインとリアルの店舗のシナジーと言うのはあまり考えられない。
あるとすると、プライムで1日で配達されるよりも、もっと早く欲しいとか、生鮮食料品を買いたいと言うニーズに対応することだけだ。その意味でAmazon Go、Whole Foods、Amazon Freshには意味がある。また、ファッションの試着が行えるAmazon Styleにも意味がある。だが、リアルの店舗で本を売るビジネスについては、やる意味がないと言うことになったのかもしれない。
2021年にAmazonの収益は4698億ドル、つまり54兆円だ。これだけの利益を上げているのであれば、多少の経営のミスは許されるし、様々なトライアルができる。500店もリアル店舗を持つWhole Foodsにしても、Amazon全体のビジネスからすれば、小さなものだ。
とは言えオンラインで様々なビジネスを、試行錯誤の上で成功させてきたAmazonにとって、リアル店舗も1つのチャレンジなのであろう。実際に携帯電話などの多くのビジネスを始めて撤退している。リアル書店も、試してみてうまくいかなかった1つの例に過ぎない。