Discovery+の北京オリンピック配信

by Shogo

Discovery+が北京オリンピックで獲得した有料契約者数は2018年の平昌オリンピックに比べ50%も多かった発表した。時差に大きな差がないために、この違いの理由がよくわからない。Discovery+のマーケティングが成功したのだろうか。

Discovery+を所有するDiscoveryと、その傘下のEurosportsは、IOCより15億ドルで、ロシアを除くヨーロッパでの、2018年から2024年までの夏季冬季オリンピックの、すべての形式の放送権を獲得している。つまり通常テレビ放送や配信サービスなど自由に組み合わせることができる。無料で放送する義務がある契約になっていると思われるので、一部の試合は通常の無料テレビ放送で見られるはずだ。多チャンネルと配信サービスを持つ放送事業者にとっては、オリンピックは同時にたくさんの試合が行われているので、自由な編成が行われるコンテンツとなる。これをうまく使って、Discovery+の有料契約者を獲得したのだろう。

北京オリンピックについては、Discovery+はデンマーク、フィンランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、イギリスで競技を配信した。それ以外の地域ではEurosports系の配信であったようだ。これについてはまだDiscovery+の事業体制がヨーロッパ全域で確立していないためと思われる。

Discovery+の契約者数は明らかにされていないが2021年9月時点で2,000万人は突破していると言われている。この数字には、親会社のDiscoveryが提供しているサービスのEurosports Playerや D Playerなど他の配信サービスの契約者数も含まれている。競争が激しいが、健闘していると言って良いだろう。

Discoveryは放送事業者であるとともに、獲得した放送権を他の放送局に販売する代理店でもある。このためオリンピックの権利についても、ヨーロッパ各地で地元の放送局に販売している。しかし今回の北京オリンピックについては、ノルウェーとスウェーデンでは販売せずに、Eurosportsを通じて独自の無料放送を行ったようだ。これで、無料放送の競技とDiscovery+での有料放送をうまく使い分けて、その2国では、特に有料契約者獲得が成功したのではと推測する。

Discoveryはドキュメンタリーを放送するDiscoveryチャンネルとアニマルプラネットのなどのケーブルチャンネルの放送局として発展してきた。2012年にEurosportsに出資、2015年には完全子会社化している。そして2021年にAT&T傘下のWarner Mediaと経営統合することで合意し、現在との調整を行っている。

Warner Mediaは、傘下に配信サービスとしてはHBO Maxがある。またDiscoveryとWarner Mediaはともに膨大なコンテンツを持つ企業であり、これらの資産を活用した配信事業については今後再編成が行われる可能性がある。Discovery+とHBO Maxを統合するのか、棲み分けるのか。どちらも、日本には進出していないが、Warner Mediaは日本のビジネスでは映画など長い経験があるので、進出は時間の問題であろう。

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