以前より、本はKindleで買うようにしている。本を増やしたくないからだ。すでに数十箱もの本を古本屋さんに売って、スペースを作った。このスペースは、本以外に使いたいと考えているのだ。
だから、本を読むときは基本的にはKindleを使って読む。だが移動の短い時間にはiPhoneで読んでいる。このような習慣になっていて困るのは移動の途中で、本を買おうとすると、iPhoneでは買えないことだ。
その理由については、よく考えてもいなかった。単純に不便だなと思っていただけだ。その理由がわかったのは、2020年8月の「Fortnite」のEpic gamesとAppleの訴訟が起こったからだ。App Storeは、iPhone用のアプリやゲームなどのコンテンツを独占的に販売している。その際にAppleは手数料として30%を徴収する。この仕組みがアップル経済圏と呼ばれて、アップルにとって莫大な収入源になっている。2020年の数字で、App Storeの売り上げは640億ドル、7兆円以上にも上る。Appleはセキュリティー対策など費用がかかることを主張しているが、ほとんどコストがかかっていないと思われるのでほとんどが純益と考えて良いと思う。
この仕組みに対して、Epic gamesは意義を唱えて、App Store経由の支払いを回避できる独自の決済システムを導入した。このことが契約違反として、AppleはApp Storeから「Fortnite」を排除した。iPhoneでは、新しいアプリやコンテンツは、App Storeからしかダウンロードできない仕様になっている。新しいユーザーは、「Fortnite」をiPhoneで遊べなくなった。
これを受けて、Epic gameはAppleに対して独占禁止法違反で訴訟を起こした。同様の事はGoogle playでも起こり、Epic gameはGoogleとも係争中だ。現時点まで、この問題は解決せず、iPhoneでもAndroidでも「Fortnite」はダウンロードできなくなっている。このため「Fortnite」がインストールされたiPhoneを高値でインターネットオークションに出品すると言うようなことも起こっていると言う。
Epic gameとの裁判が始まった後で、Appleは中小の開発者の手数料を減額すると発表して、強欲なAppleのイメージを改善しようとした。さらに、昨年から、App Storeの収益を守ろうとする態度に変化が見られている。
日本においても、Appleは2021年9月に公正取引委員会に対して、外部での決済をできるリンクを容認すると言うことで合意している。そし2022年3月30日に、動画や電子書籍ゲームなどの利用者を外部サイトに誘導するためのリンクを設置できるようにしたと発表した。
これは、すでに日本以外ではApp Storeの厳しい縛りを緩和してきたことが、日本でも適用されたに過ぎない。
韓国では、2021年8月にAppleやGoogleなどのアプリ運営会社が自社の決済システムの利用を義務付けることを禁止する法律を可決している。この法律は厳しいもので、AppleやGoogleがこれを守らなかった場合には、App Storeではなく、企業全体の総売上の3%を上限とする制裁金を課すと言う。この法律ができたために、韓国では世界で初めてAppleがApp Store外での決済システムの利用を2022年1月より認めている。Googleも同様の対応をすでに2021年11月に行った。つまり、韓国では、世界より一足早く、App StoreやGoogle Playの決済が自由化されている。
同じようにオランダでも、今年1月から一部の外部決済が認められ、ヨーロッパ各地でも、今後同様の対応が取られると思われる。これにより、AppleのApp Storeでの独占的な決済は既に崩れている。
Googleも、独占的な決済をを放棄して、やはり2022年3月に音楽配信サービスのSpotifyに対して、世界各国で、Spotifyの決済システムで使うことを容認した。これによりSpotifyは、独自に手数料を決めることができる。当然SpotifyとGoogleは30%ではない手数料で合意しているものと思われる。多分、今後、Appleも同様の対応をするだろう。
このようにAppleにしてもGoogleにしてもアプリや書籍などの音楽などのコンテンツ等の販売に関して排他的な決済システムを取らなくなってきている。これが今後Amazonにまで適用されると、Amazonは、iPhoneでKindleの本を買えるこようにすると思われるので、本を買う事は以前より簡単になる。早くそうなることを願っている。