Warner Bros.Discoveryの新サービス

by Shogo

Warner Bros.Discoveryは、今年の4月に、AT&TのWarnerMedia部門とDiscoveryが合併して誕生した。メディア・コンテンツの総合会社だ。配信サービスでは、HBO MaxとDiscovery+を傘下に持つ。そのCEOのデビット・ダスラブが記者会見で、HBO MaxとDiscovery +を1つの有料配信サービスとして統合すると発表した。その際に同時に、無料の配信サービスも立ち上げることにも言及している。その発言の中では、統合される配信サービスの名称や有料版の料金については何も語っていない。どちらのサービスの2023年の夏に開始されると言う。この統合に、意味があるか疑問だ。むしろ、両方のサービスを継続して、ブランドを残して行くほうがマーケティング的には有利な気がする。特にHBOのブランド力は大きい。

配信サービスは、次世代のエンターテイメントの中心のインフラになるため、多くのメディア・コンテンツ企業が参入し、激しい争いになっている。同時にコロナ禍の収束とともに、需要が頭打ちになっているのか、どのサービスも大きな伸びは見せていない。

そこで、新しいビジネスモデルを求めて、規模が最大のNetflixは、今まで、かたくなに拒んできた広告を受け入れ、広告付きの格安定額プランを年内に開始すると発表している。この結果が同社の収益にどのような影響与えるのか現時点では全くわからない。

HBO Maxは今年の4月に加入者が7,680万人になったこと発表している。この数は、Netflixの約3分の1強だ。ワーナーブラザースの映画が劇場公開されず、HBO Maxだけで配信されるコロナ禍での異例な状況があったことを考えると、あまり伸びていないとも言える。一方のDiscovery+のほうは、さらに小さく2,200万人程度と言われている。単純計算では、この2つのサービスの合併により1億人程度の契約者を持つことになる。無料サービスのほうは、特に発表されていないが広告モデルと思われるので、こちらのほうも既に広告モデルの配信サービスも激しい競争状態にある。今後、広告主の獲得競争が激しくなると思われる

Warner Bros. Discoveryは、合併の際の負債が550億ドルあり、NetflixやDisneyといった巨大企業に対して、コンテンツの獲得競争しながら、その負債の返済をしているいかなければいけない苦しい状況にある。

定額配信サービスは、世界中どこでも激しい競争の状態であり、限られた契約者を、巨額で獲得したコンテンツを目玉にして各社が激しく争っている。さらに、NetflixやDisneyだけではなくAppleやAmazonが、さらに今後力を入れることも予想され、どの企業が今後生き残っていけるのか、現時点では全くわからない。

そんな状況の中で、傘下のワーナーブラザーズ映画ではほぼ完成していた制作費9,000万ドルの映画「バットガール」をお蔵入りさせている。公開して、マーケティングコストがからかさむよりも、サンクコストとして、9,000万ドルを償却する方が財務的には有利と判断したようだ。このようなことがあると、役者や制作関係者はWarner Bros.との仕事について今後二の足を踏むようなことになり、結果的に映画部門だけではなくストリーミングサービスについても悪い影響がある可能性がある。

一方でNetflixは、契約者の減少や株価の急落への対応として、大きなギャンブル行っている。2億ドルを投じて新作アクション映画「The Grey Man」を投入して、契約者の引き止めに入るのだ。

配信サービス参入企業は、当面赤字覚悟で、大金でコンテンツを調達し、契約者獲得に集中することになる。市場浸透のマーケティング戦略としてはよくある方法だが、問題は資金がどこまで続くかと言うことだ。それを考えるとAppleやAmazonは他の事業から大きな利益を上げ、配信サービスに投入できる。一方、Warner Bros. Discoveryは負債を抱えた中で、どこまで戦えるのか不明だ。2025年に黒字化を目指すと発表しているが、Warner Bros. Discoveryが来年どのようなサービスを開始するのか、名称も含めた全貌の発表が待たれる。

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