週末は良い天気でしかも少し暖かかった。カメラを持って出かけることとして、とりあえず文化村にフェルメールを見に行った。今回の三枚ともにすでに見た作品だが、日本に来ているなら行かなければならない。
今回の展示は、フェルメール以外は特に目新しいものはなかったのだが、レンブラントの弟子というBol(ボル)という人のポートレイトの作品が不思議な感じで面白かった。フェルメールも、レンズを通して見た映像を作品に生かしていたといわれるが、ボルの作品は確実にレンズを通して見たものだった。
ボルの描いた学者の肖像は、まず顔がぼけている。良く見ると手前にある本の端とか学者の胸のスカーフとかにピントが合っている。顔にピントが合っていないポートレイトというのもすごいなと思って見ていたのだが、この当時、レンズを通して見たような映像を絵に描くのが流行りだったのだろうか。
フェルメールの三作品は、特に好きな「手紙を読む青衣の女」が来ていることもあり、やはり行って良かった。一緒に行った家人と、デ・ホーホとか主題も構図も同じなのに、どうしてこんなにも印象が違うかという話になったのだが、多分たくさんの理由があるのだが、ひとつは色の深みと諧調、それからハイライトの表現の美しさ、最後に光と影のコントラストの三つがとりあえずの理由だとか話をしていた。
相変わらずフェルメールは人気で会場は混雑していたが、他の作品はざっと見ただけで、フェルメールの展示室にずっといた。やはり、同じ場所に三作品ならんでいるのは満足度が高い。所蔵されている美術館でも、三枚並んでいるということはあまりない。
まだ見ていない作品を、思い出しながら帰ってきたので、今後のためにまとめを作った。 ○は、所蔵美術館で見たもの、△は、東京で見たもの、×はまだ実際の作品を見ていないもの。ロンドンの4作品はまだ見ていないので、いつかイギリスに行かなければ。
イギリスに最後に行ったのは、もう15年前で、それ以降はロンドンでトランジットが何回かあったが、一度も入国していない。それ以前に行ったのも、学生時代の一度を除いてすべて仕事だったから観光はほとんどしていない。
中でも大きな問題は、英国王室コレクションの「音楽のレッスン」は、王室が夏休みの時以外は公開されていないから、夏にしか行けない。それからボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の「合奏」は盗難中で、いつ見られるかもわからない。「合奏」が盗難にあった時にたまたまアメリカに住んでいた時だったから、大きなニュースになったことは今でも良く覚えている。もう20年以上過ぎて、再び多くの人の目に触れる可能性はかなり少なそうだ。
■ アムステルダム 国立美術館
1.「牛乳を注ぐ女」 ○
2.「手紙を読む青衣の女」 ○
3.「恋文」 ○
4.「小路」 ○
■ハーグ マウリッツホイス美術館
5.「真珠の耳飾りの少女」 ○
6.「ディアナとニンフたち」 ○
7.「デルフトの眺望」 ○
■ブラウンシュバイク ヘルツォーグ・アルトン・ウルリッヒ美術館
8.「二人の紳士と女」 △
■ ベルリン 国立絵画館
9.「紳士とワインを飲む女」 ○
10.「真珠の首飾りの女」 ○
■ドレスデン 国立絵画館
11.「取り持ち女」 ○
12.「窓辺で手紙を読む女」 ○
■フランクフルト シュテーデル美術研究所
13.「地理学者」 ○
■ ウィーン 美術史美術館
14.「絵画芸術」 ○
・ パリ ルーブル美術館
15.「レースを編む女」 ○
16.「天文学者」 ○
■ロンドン ナショナル・ギャラリー
17.「ブァージナルの前に座る女」 ×
18.「ブァージナルの前に立つ女」 ×
ケンウッド・ハウス
19.「ギターを弾く女」 ×
英国王室コレクション
20.「音楽のレッスン」 ×
■エディンバラ 国立スコットランド美術館
21.「マルタとマリアの家のキリスト」 △
■ダブリン アイルランド国立美術館
22.「手紙を書く婦人と召使い」 △
■ワシントンDC ナショナル・ギャラリー
23.「手紙を書く婦人」 ○
24.「天秤を持つ婦人」 ○
25.「赤い帽子の娘」 ○
26.「フルートを持つ娘」 ○
■プリンストン バーバラ・ピアセッカ・ジョンソン・コレクション基金
27.「聖女プラクセデス」 △
■ニューヨーク メトロポリタン美術館
28.「水差しを持つ女」 ○
29.「少女」 ○
30.「眠る女」 ○
31.「窓辺でリュートを弾く女」 ○
32.「信仰の寓意」 ○
フリック・コレクション
33.「兵士と笑う娘」 ○
34.「稽古の中断」 ○
35.「婦人と召使い」 ○
■ボストン イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館
36.「合奏」 (盗難のため行方不明) ×
■ 個人蔵 (場所不明)
37.「ヴァージナルの前に座る若い女」 △