東京のフェルメール

by Shogo

Dublin

フェルメールは17世紀のオランダの画家である。活動期間は20年ほどで現存する作品は最大37点と言われる。3~4点は真筆ということに関しては意見が分かれている。その数少ない作品が2015年オークションに出され、日本人と思しき人が落札され、今年、世界遺産登録で話題になっている国立西洋美術館に寄託された。ついにこれで日本もフェルメールが見られる国になったことは喜ばしい。フェルメールがいつでも見られる街に住むということはなんと素晴らしいことか。

その作品、「聖プラクセディス」は、真筆かどうか意見が分かれている作品であるのは残念だが、世界的にも人気の高いフェルメールがそもそもオークションに出ることは考えられないので、これは仕方ない。11億円といわれる価格で落札して国立西洋美術館でみんなに見せてくれるとはなんと素敵な人だろうか。

1990年代の初めにニューヨークで初めてフェルメールを見て以来、作品を見てきたが数年前までにすべてを見ることができた。最後の作品は、バッキンガム宮殿の「音楽のレッスン」だった。これは、イギリス王室が夏の休暇中にだけ、その美術館が一般公開されるのでタイミングが合わないと見るのが難しいし、貸し出しもされないので最後まで残っていた。

フェルメールはその光の表現と独特の静謐な雰囲気のある作品で世界的に人気があり、特に日本では人気が高い。私も19世紀の印象派以前の絵は特に有名なものを除いて宗教画という先入観があってフェルメールのような風俗や日常生活を描いたものはよくは知らなかった。それが、すっかりはまって、日本では有名なフェルメール巡礼を始めることになった。これは、所蔵されている美術館に行って作品を見るというもので、せっかく行っても貸し出されているというようなことがありなかなか実現が難しい。20年かけてすべて作品をみることができたが、まだ現地で見ていないのは、ドイツのブラウンシュバイク ヘルツォーグ・アルトン・ウルリッヒ美術館の「二人の紳士と女」、ロンドンのケンウッド・ハウスの「ギターを弾く女」、エディンバラ 国立スコットランド美術館の「マルタとマリアの家のキリスト」だ。あと三都市の訪問が残されている。

でも、盗難中のボストン イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の「合奏」は見ることができないし、個人蔵の「ヴァージナルの前に座る若い女」も行って見ることはできない。

○は現地で鑑賞、

△は貸出された美術館で鑑賞
■ アムステルダム 国立美術館
1.「牛乳を注ぐ女」
2.「手紙を読む青衣の女」
3.「恋文」
4.「小路」
■ハーグ マウリッツホイス美術館
5.「真珠の耳飾りの少女」
6.「ディアナとニンフたち」
7.「デルフトの眺望」
■ブラウンシュバイク ヘルツォーグ・アルトン・ウルリッヒ美術館
8.「二人の紳士と女」
■ ベルリン 国立絵画館
9.「紳士とワインを飲む女」
10.「真珠の首飾りの女」
■ドレスデン 国立絵画館
11.「取り持ち女」
12.「窓辺で手紙を読む女」
■フランクフルト  シュテーデル美術研究所
13.「地理学者」
■ ウィーン 美術史美術館
14.「絵画芸術」
■  パリ ルーブル美術館
15.「レースを編む女」
16.「天文学者」
■ロンドン ナショナル・ギャラリー
17.「ヴァァージナルの前に座る女」
18.「ヴァージナルの前に立つ女」
■ケンウッド・ハウス
19.「ギターを弾く女」
■英国王室コレクション
20.「音楽のレッスン」
■エディンバラ 国立スコットランド美術館
21.「マルタとマリアの家のキリスト」
■ダブリン アイルランド国立美術館
22.「手紙を書く婦人と召使い」
■ワシントンDC ナショナル・ギャラリー
23.「手紙を書く婦人」
24.「天秤を持つ婦人」
25.「赤い帽子の娘」
26.「フルートを持つ娘」
■東京 国立西洋美術館
27.「聖女プラクセデス」
■ニューヨーク メトロポリタン美術館
28.「水差しを持つ女」
29.「少女」
30.「眠る女」
31.「窓辺でリュートを弾く女」
32.「信仰の寓意」
■フリック・コレクション
33.「兵士と笑う娘」
34.「稽古の中断」
35.「婦人と召使い」
■ボストン イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館
36.「合奏(盗難のため行方不明) ×
■ 個人蔵 (場所不明)
37.「ヴァージナルの前に座る若い女」

写真は、すでに東京で見ていた「手紙を書く婦人と召使い」を見に行ったダブリンで。

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