ウクライナでは戦争がまだ続いている。ロシアは、一方的に南部と東部の4州を併合する宣言した。劣勢が伝える中、反攻に出るためか、ロシアは20万人規模の徴兵を行い、最終的には30万人を、新たにウクライナに投入すると発表している。
ウクライナ軍は健闘しているが、いつまで持ちこたえられるのか。特に、ウクライナの目的がクリミア半島を含むこの東部と南部の奪還だとすれば、この戦争は何年も続くことになる。当然、西側が援助を続ければだが。
このような場合に最後の一兵まで戦うのかどうか。ウクライナの国民が決めることだが、少し心配になる。映画「チャーチル」は、そのような演説を行って、ナチスとの戦いを選んだところが出てくる。勇ましいのだが、実際に死ぬのはチャーチルではなかった。
そのウクライナが、2030年のFIFAワールドカップの招致を行っているスペインとポルトガルに、共同開催国として加わると言う。ゼレンスキー大統領の承認も得て、計画は正式に動き出しているようだ。ゼレンスキー大統領は、ポルトガルとスペインの両国の政権と話し合いを持ち、48チームが参加する大会の、16に分かれるグループの1つをウクライナで行うことを合意していると言う。
過去にウクライナは2012年の欧州選手権をポーランドと共催し、ウクライナの4都市で試合が行われたこともあるし、ユーロ2012の決勝戦はキーウのオリンピックスタジアムで行われた。最近では、2018年にUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦も、そこで開催された。実績からみて、大きな大会を開催してきた国だ。今回が違っているのは。戦争中と言うことだけだ。
ウクライナのサッカー国内リーグは8月に非公開で再開されているようだ。またウクライナ代表はポーランドで最近、試合を行ったし、UEFAチャンピオンズリーグに参加しているシャフタール・ドネツクもポーランドで最近試合を行っていると言う。東部南部では激しい戦闘が続いているが、それ以外の地域では、サッカーも含めて日常が戻ってきているのだろう。それが良いことなのか悪いことなのか。
サッカーのワールドカップは、今年のカタールに続く2026年の大会は、初めて48チームの参加で行われる。48チームを16のグループに分けて、一次リーグを行い、その上位に2チームの合計32チームでノックアウトラウンドが開始される。つまり、ウクライナで開催されるのはたった3試合だ。この3種類のために共同開催に参加させると言うのは、意味としてはウクライナ支援策の1つと言うことか。
2030年のFIFAワールドカップについては、ウルグアイ、アルゼンチン、チリ、パラグアイの4カ国が、1930年に開催された第一回大会を記念して、南米で行うことを提案し招致を行っている。招致の動きを見せていたイギリスとアイルランドは、2028年UEFA欧州選手権の招致に切り替えたために、立候補を取り下げた。
このまま新たな立候補がないと、南米とヨーロッパの一騎打ちとなる。大会100年記念を掲げる南米に対して、スペインとポルトガルはウクライナを形だけ加えることで大義を付け加えようとしているのかもしれない。