温暖化ガス排出量が過去最高

by Shogo

2022年の二酸化炭素排出量が過去最高を記録する可能性が高いことが発表された。エジプトで開催中の国際気候変動サミットで、グローバル・カーボン・プロジェクトが発表した新しい数字によると、今年の石炭、天然ガス、石油を燃やすことにより発生する二酸化炭素は、366億トンと予測されている。

この数字は2021年よりも1%多く、2019年の数字よりもわずかに多い。2020年と2021年はパンデミックにより経済が停滞し、二酸化炭素排出量が減少していた。

化石燃料を燃やすことによる二酸化炭素の発生は、1部の国に大きく偏っている。中国が32%、アメリカが14%、EUが8%、インドが8%で、この三ヶ国と1地域で全体の62%を占めている。

日本の最新の数字はわからないが、2019年時点では、日本は世界の排出量の3.2%を占めており、大きな責任がある。

2022年はパンデミックの収束により、経済活動が回復してきたことが、この二酸化炭素排出量の増加の要因の1つである。ただ中国についてはゼロコロナ政策によるロックダウンや不動産開発の停滞のために0.9%減少することが見込まれている。また、中国も努力をしているようで、風力発電と太陽光発電が急速に成長しており、2022年の石炭需要はほぼ横ばいになっているそうだ。

地球全体の排出量の32%という責任があるのだから、もっと努力してもらいたい。北京にいる頃に、北京郊外で石炭を積んだトラックの長い列を何度か見かけたことがあった。そのときに、石炭を燃やしているから大気汚染も変わらないと思っていた。あの長い列は、今は短いのだろうか。

ヨーロッパもロシアが天然ガスの供給を減少させたことから、今年の排出量は0.8%減少すると予想されている。しかし、ドイツやオーストリアが、エネルギー不足解消のために、長い間使用してこなかった石炭・火力発電を再稼働させたために、天然ガス消費の減少を一部相殺してしまっている

一方、アメリカは排出量を今年1.5%増加させてしまう。これは景気回復に伴う経済活動のために、天然ガスや石油からの排出量が増加するからだ。

問題はインドで化石燃料の排出量が6%近く増加する。これが世界的な二酸化炭素の増加の大きな要因となっている。インドはEUと並び世界3位の二酸化炭素排出国となっているが、ヨーロッパに比べると人口が多いために一人当たりにすると、ヨーロッパの3分の1と言うことだそうだ。

インドの人口や歴史的な経緯を考えると、インドだけを責めることはできないのだが、もう少し努力をしてくれないものかとも思う。

国際エネルギー機関(IEA)によれば、化石燃料の需要はこの10年でピークに達し、その後は横ばいになると見込まれている。その理由の1つは、ロシアによるウクライナ侵略のために、多くの政府が石油、ガス、石炭からの転換を図る政策を推進していることにある。例えばアメリカ政府は風力、タービン、ソーラーパネル、原子力発電所、水素、燃料、電気自動車、電気ヒートポンプのために3700億ドルの支出を決めた。アメリカも中国に次いで2位の14%の責任があるのだから、もう少し早くからこの努力をすべきであった。トランプ政権の4年間が温暖化対策を停止しまっていたことが理由だろう。

グローバル・カーボン・プロジェクトの発表のデータには良いニュースもある。森林破壊や土地の利用によって放出される二酸化炭素の量は過去20年間で減少しているようだ。その減少量は2022年で、39億トンになり、これを含めると人類の総二酸化炭素排出量は2015年以降は、ほぼ横ばいとなるそうだ。

この要因はヨーロッパなどで放棄された農地が森林に帰ることによる。森林が成長すると、大気中の二酸化炭素が吸収されるために、このような排出量の減少が起こっている。しかし、ブラジルやインドネシア、コンゴなどでは森林破壊による排出量が依然として多い。

2015年のパリ協定では、産業革命前と比較して、気温の上昇を2%を下回るように1.5%を目指すことで合意している。しかし、既に1.1%上昇しており、後がない。専門家によれば、二酸化炭素の排出量が2022年のレベルで横ばいが続けば、気温は9年以内に1.5度以上の上昇をすることになり、30年以内に2度の上昇する。多くの科学者が、気温が1%上昇すれば、異常気象や海面の上昇により、世界の何千万人の人の命が危険にさらされると警告している。本当に待った無しの状況だ。年々増える巨大台風が恐怖となる。

多くの国では、再生可能エネルギーの利用を進め、電気自動車への転換を図っているが、何か劇的な対策を取らないとこの気温の上昇は止まらない。

昔、80年代の初めに、大手のファッションメーカーの仕事をしていた時に、そのクライアントの1人が、年々気温が上昇しているような気がするので、この傾向が続くと商品の発売の時期や素材などを見直すことが必要になるかもしれないので、可能な限り気温の変化を調べてもらいたいと言う依頼があった。

それで気象庁の数字で、過去数十年にわたったわたる年間の気温の変化を調べたことがあった。その時は結論としては変化は無しだった。その時代にはまだ今ほど二酸化炭素の排出量が少なかったことが1つ、それから、気象庁のデータの範囲では目に見えるほどの気温の上昇なく、誤差に範囲に含まれるような程度だったのだろう。しかし、今になって思い返すと、その時のその人の感覚が正しくて、調べていた時は、ばかばかしいと思ったが、今となっては正しい感覚を持っていた人だと思い返される。それはさておき、日本政府は本当にこの問題に取り組んでいるのだろうか心配なる。

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