F1にデジタルサイネージ

by Shogo

広告は人の目が集まるところに出される。逆に言えば、人の目が集まるところは、どこであれ広告を出す価値がある。だから、様々な場所の広告が開発されてきた。適切な例が思いつかないが、電車のつり革についていた広告もそうだし、電柱に付いている広告もそうかもしれない。

そして、デジタル技術が進み、デジタルサイネージとして、その広告はさらに進化した。サッカーで言えば、広告看板は、ペイントされたものだったが、今ではLEDボードに変わり、スポンサー名が変わったり、全体を使って動きのある表現が行われたりが普通に見られるようになっている。昔、板に描かれた広告をチェックしたりしていた身からすると随分変わったものだと思う。

そのデジタルサイネージによる広告がF1でも使われるようになった。F1は極限まで技術を突き詰めて作る車のために、塗装のペイントにさえ気を使うほど、重量や空力性能に注意が払われている。そこにデジタルサイネージが付けられるかと思ったが、コックピットの側面に取り付けられ、ドライバーの後ろのカメラから撮られた映像に映り込むための広告だ。観客席から見えないが、テレビ放送用の広告となる。

既にマクラーレンは、昨年の練習走行でテストを行い、今シーズンは全てのレースで、このコックピットのデジタルサイネージ広告表示装置をつけている。今シーズンは、さらに4チームがこのシステムを利用するそうだ。

F1にデジタルサイネージと聞いて思った通り、最初に開発されたシステムは350グラムで、これに対してマクラレンは拒絶したそうだ。最終的には重量は190グラムで、厚さは、なんと800ミクロン、1ミリの8分の1だ。使われているのは、Kindleの表示画面のような電子ペーパー素材と薄膜トランジスタで、車体のコックピット側面の表面に貼り込まれている。

マクラーレンは、このコックピットのデジタルサイネージに、ChromeとAndroidを45秒毎に交互に表示させている。しかしすでにチームとしてGoogleと契約をしているために追加の費用は請求していないようだ。しかし今後はチームによってはこれを別売にして追加の広告費を獲得することが可能になる。

この技術を開発した会社によれば、様々なスポーツのヘルメットやゴルフバックへの広告の表示を検討していると言う。広告は、メディアがビジネスを成り立たせるため始まってきたが、それがスポーツを始め人の目が集まる様々な分野に広がっている。それがデジタルサイネージに変わることにより、様々な表現ができること、小分けして小規模なスポンサーに売ることができること、特定の状況に合わせたメッセージができることなど、デジタル化することによるメリットも大きい。F1チームにしてもプロゴルファーにしても、追加の広告費を稼げると言うメリットがあるので、そのスポーツの団体が禁止しない限り活用が広がるかもしれない

現時点では、表示されるのはモノクロだが、技術が進んで、カラーになり、価格も安くなれば、電車やバスの車体広告に活用されることも考えられる。1ミリの8分の1の薄さだから、様々に広告が現れることになるのだろう。

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