ブンデスリーガでは、バイエルンが最終節で逆転優勝した。勝ち点で2点ビハインドだったが、ドルトムントが最終戦で引き分けたため、勝ち点で並び得失点差で優勝を果たした。これで、ブンデスリーガで11連覇と言うとてつもない記録だ。
同じように、プレミアリーグでも圧倒的に強いマンチェスター・シティが既に1週間前に3連覇を達成している。これで通算9回目のリーグ優勝。過去6年間だけ取ってみれば、5回リーグ優勝しているので、ブンデスリーガのバイエルンのと同じように絶対的王者だ。
マンチェスター・シティは、以前は同じ都市のチーム、マンチェスター・ユナイテッドに比べると、影の薄い存在だった。だが、今は、サッカーファンの教え子に聞くと、好きなチームはマンチェスター・シティと答える学生が何人かいる。前は、好きなチームとして名前が上がるようなチームではなかったので、時代は大きく変わったようだ。
これは2008年にアブダビ連合投資グループが買収して以来、その資金力を生かしてチームの強化に努めた結果だ。ドイツのサッカー専門サイト、トランスファーマーケット.comによると、2008年以降マンチェスター・シティの正味移籍金支払い額は14億5000万ユーロで、2位のライバル、マンチェスター・ユナイテッドの12億7000万ユーロを2億ユーロほど引き離している。ちなみに、マンチェスター・ユナイテッドも、ちょうど売却交渉中だが、今は、タンパベイ・バッカニアーズを持つアメリカン人実業家がオーナーだ。
3位のチェルシーは、11億2800万ユーロ。チェルシーはプーチンに近いロシア人オルガルヒが所有していたが、ウクライナ侵略に伴う制裁により、ドジャーズの共同オーナーに昨年売却している。
4位は、パリ・サンジェルマンで、ネットの移籍金は10億7500万ユーロ。パリ・サンジェルマンは、カタール投資庁の子会社のカタール・スポーツ・インベストメントが2011年に買収して、その資金力を生かして、昨シーズンまでに、すでにフランスのリーグ・アンで8回リーグ優勝している。今シーズンも現時点でトップなので9回目の優勝決定もすぐだ。
このようにヨーロッパのサッカーチームは、資金力のあるオーナーに買収された後、多額の資金を投じて、良い選手を獲得して、それぞれのリーグで優勝回数を積み上げている
金払いの良いオーナーを持たないバイエルンが、着実に勝っているのは良いことだが、そのバイエルンもブンデスリーガでは勝てても、チャンピオンズ・リーグでは2019 -20シーズンで優勝するまで、上位には食い込むことはできなかった。やはり最後は、有力な選手の存在が結果を左右すると言うことなのだろうか。
マンチェスター・シティには思い出がある。2012-13シーズンのFAカップの決勝に出たマンチェスター・シティを見たからだ。オーナーが変わって、スター選手が集まり始め、すでに黄金時代は始まっていた。その年は、仕事で長い時間ロンドンに滞在していたので、FAカップ・ファイナルも見ることができた。決勝の会場のウェンブリースタジアムは薄水色のユニホームで埋まりマンチェスター・シティーファンで一杯だった。対するチームはウィガン・アスレチックで、当時はプレミアリーグに所属していたが、常に脱落の可能性のある底辺にいた。実際、その年の後、プレミアリーグからEFLチャンピオンズリーグ(実質第2部)、さらにリーグ1 (実質第3部)に脱落して、今年から、やっとEFLチャンピオンズリーグに復帰した。つまり、王者と負け犬の決勝だった。
その試合は、VIP招待で見たので、ダイニングルームで食事をした際に、賭け担当の人が各テーブルを回って賭けを募っていた。その用紙はB5もあるような大きな紙で細かく様々な賭けができるようになっていた。スタジアムが、マンチェスター・シティー一色になっていたので、ウィガン・アスレティックの応援のために、ウィガンの勝ちに賭けることにした。大きな賭けの用紙から、賭けの対象をウィガン・アスレティックの勝ちから3つ選んで、それぞれ10ポンドずつかけた。
試合は0-0のまま進み、試合時間も残り少なくなっていた。賭けた項目の2つは実現の見込みもすでになくなって、残っていたのは90分以内にウィガン・アスレティックが勝つと言う賭けだけだった。しかし、それも、あと数分で延長に入ると無効になる。しかし、最後の最後にウィガンが、見事なシュートを決めて90分以内でFAカップ優勝を遂げた。その後、プレミアリーグから脱落しているので、ウィガン・アスレティックにとっては最後の輝きだったのかもしれない。
もちろん勝ったのはウィガン・アスレティックだが、90分以内の勝ちにかけた、私も日本円で数万円のお金を手にすることになった。それ以来、マンチェスター・シティの名前を聞くと、薄水色に染まったスタジアムとその雰囲気の中で勝った負け犬のウィガン・アスレティックのことを思い出す。