広告会社のAI技術の取り組み

by Shogo

広告業界も他の産業と同様に人工知能を使った様々な取り組みが開始されている。中でも、コカコーラは、Open AIと組んで画像生成モデルのDALL-E2やChat GPTを組み込んだ、Create Real Magicと言う自前の広告作成プラットフォームを作って広告作品を制作している。またStable Diffusionを使ったCMを完成させてすでに放映された。このような事例は、すでに枚挙にいとまない。

広告主以上に、多くの広告会社も、AIツールを使った広告コピーの開発や画像生成AIを使った広告作品の開発などに取り組み始めている。

広告会社ランキング3位のフランスのPublicis Groupeは、テクノロジー企業のElder Research とTquilaと立ち上げた合弁会社のPublicis Sapient AI Labsの全株式を取得して完全子会社した。この会社を中心に、AI技術によるクライアントサービスを開始している。このサービスには、AI技術によるクライアントのビジネス上の課題の解決を助ける以外に、クライアント側でのAI技術を使った広告開発のコンサルティングを行うと言う。

ランキング2位のOmnicom Groupは、Adobeの画像生成AIツールのAdobe fireflyとAdobe Sensei GenAI.へのアクセスを含んだ提携を発表している。広告分野での技術に強いAdobeを引き込んで広告分野でのAI技術の開発で先行しようとしているようだ。

そして、今週、業界1位のWPPは、広告制作分野でNvidiaと提携することを発表した。WPPとNvidiaは、広告制作プラットフォームを構築して、広告のための2D画像や動画、3Dシミュレーションを作成できるサービスを開始する。現時点では、このプラットフォームにまだ名前はないようだ。このプラットフォームの中心には、Nvidiaのクラウドサービス、Nvidia Omniverseが使われ、制作能力を高めるためにAdobe やGetty ImagesのAIツールと接続できるそうだ。

Nvidiaは、最近まで単に半導体メーカーと思っていたが、今やAI分野ではだけではなく、もともと強い画像生成を含む、ソフトウェアサービスを行っているテクノロジー企業になっているようだ。ごく最近も、その時価総額が急騰して、MetaやTeslaよりも高くなったことがニュースになっていたばかりだ。その背景には、このような様々な分野でのクラウドサービスも提供しているからなのだろう。

なんであれ、人間が考えて作るものがそうであるように、広告もたくさんのアイディアを出して、その中から最適なものを選択することになる。それは広告コピーや広告のイメージも同様である。通常は何人かのクリエイティブ担当者が考えたものから選ぶことになる。このアイディアを出す工程を、AIツールを作って使って様々なパターンを作り出して、その中から人間のクリエイティブ担当者が選択すると言うのはすぐにでもできし、すでに行われている。

しかし、すでに広告業界では、その域を超えて、実際にコカコーラの事例のように最終アウトプットの広告作品まで作るケースも出始めた。WPPとNvidiaの広告作成プラットフォームは多くのことを可能しそうだ。実際に、新製品の広告や秘密を守らなければいけない広告の制作が密室で(コンピューターの中で)行えれば、こんな良いことはない。

広告とAI技術の関係は、以前より深いのも事実である。ターゲットの行動分析により広告配信することや広告のへの反応を分析して効果を測定することなどに以前より使われてきた。

そのAI技術が広告作品にまで使われると言うなっただけである。驚くほどのことではない。また、流行と言ってしまえばそれまでだが、どの広告会社もAI技術を使ったサービスを行うことが当たり前になっている。このような状況になると、多分近いうちには、人間だけのクリエイターが広告を作りますって言うことをアピールする会社が現れるかもしれない。

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