IOCは2030年と2034年の冬季オリンピックとパラリンピックの開催地を来年のパリオリンピック前のIOC総会で決定する方針を明らかにした。以前は、10月15日のインドでの会議で2030年の冬季オリンピックとパラリンピックの開催地を決定すると発表されていた。
これは、ほぼ開催都市決定が確実とみられていた札幌の撤退が大きく影響している。当初、札幌の競争相手とみられていたソルトレイクシティーは2028年ロサンゼルス夏季大会との競合があるとして、2034年開催に立候補を変更している。このために方針が変更されたのだろう。
現時点で2030年への立候補検討しているのは、カナダのバンクーバー・ウィスラーとカナダはもう1都市あり、カルガリー。それからアメリカのソルトレイクシティー、カザフスタンのアルマトイ、ジョージアのボルジョミ、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ、ドイツのシュマルカルデン、フランスではリヨンを中心としたエリアとマルセイユを中心としたエリアの2箇所、スウェーデン、スイスなどである。
札幌は2030年招致から撤退して、2034年を目指すと発表している。しかし、今回、来年パリで2030年と2034年が同時に決定するとなると、札幌が選ばれる可能性は低くなりそうだ。
ソルトレイクシティを始め、2030年の招致に参加している有力候補のフランス、スウェーデン、スイスが2034年招致にも名乗りを上げる可能性がある。
札幌が撤退した後、2030年招致では、フランスとストックホルムが有力と見られていたが、スイスでの支持率調査により人口の半数以上が冬季オリンピックを支持していることが明らかになった後、スイスも有力な候補として浮上している。
東京オリンピックのスキャンダルのために、札幌市民だけではなく、日本全体でオリンピックに対する嫌悪感がある中で、オリンピックの支持率調査が行われるとかなり低い可能性もある。このために、札幌が、来年、2034年の開催地として選ばれる可能性は低い。
しかしながら、札幌も長期的には可能性が高い。それはIOCのバッハ会長が今回の発表の際に言った言葉だ。冬季オリンピックを開催できる国別は現時点では、積雪などの競技環境を考慮すると、15カ国しかない。しかし今後の温暖化の影響で、この15カ国が、かなり数が絞られる可能性があることを指摘している。そのように考えると2034年の招致に失敗しても、近い将来的には札幌に順番が回ってくる可能性は高いと言うことになる。