近視のために眼鏡をかけているので、眼鏡をかけることに抵抗はない。しかしながら、ウェアブルの端末のMeta Quest 2やAppleのVisionProなどの顔面を覆うようなデバイスをつけて何かをすると言うのは考えられない。思い込みだろうが、あまりにも滑稽に思えるからだ。
しかしながら、先にも書いたように眼鏡は普段からかけているので、便利なアプリケーションがあるのであれば使ってもいいと思っている。ただし、金額が適正と思える範囲ならだ。
新しいウェアブルのデバイスとして、眼鏡型は、これまでも何度もトライアルが行われた。Google Glassグラスがその代表的なものだが、今まで成功したものはない。
Google Glassのように、眼鏡に表示装置を組み込んで拡張現実(AR)を使いというアイディアは古くからある。最近出たものでは、拡張現実機能はないが、MetaのRay-Ban Smart Glassは普通の眼鏡と同じような価格で写真や動画が撮れると言うのは面白いと思っていた。マイクやスピーカーも組み込まれており、電話に出たり音楽も聴ける。といっても現時点で購入するつもりはない。
眼鏡にカメラ、マイクを組み込むことのは、アイディアとしてありふれたものだ。数多くの商品が登場して、まだ誰も成功していない。
そして、眼鏡型のデバイスで、また新しい商品が発表されていた。今度は撮影できる眼鏡ではなく、AIが使える眼鏡だ。この眼鏡はBrilliant Labsというスタートアップが開発したもので、商品名は、そのままの「Frame」だ。Brilliant Labsは、元Appleの社員の会社で、また新しいスマートグラスのトライアルを行うようだ。
Frameには、「Noa」と呼ばれるAIアシスタントは組み込まれており、現在パソコンやスマホを使って行っているような翻訳、画像分析、検索のニーズに答えてくれる。Frameで目の前にある外国語を翻訳したり、目の前にあるものを画像として捉えて分析をしたり、声で検索ができる。Noaは、翻訳にはWisper、画像分析にはOpenAI、ウエブ検索にはPerlexityを使うという。
Noaに声で指示すると、情報は、情報はレンズにオーバーレイとして表示される。言ってみれば、常に拡張現実の世界で生活しているようになると言うことだ。MetaのRay-Ban Smart Glassはカメラとして面白そうだと思ったが、Brilliant LabsのFrameは実用的で面白そうだ。今は歩いている時などに思いついたことを、スマホをポケットから取り出して検索をしたりすることがよくある。それが眼鏡に声で呼びかけることによって、Perlexityが、その情報を目の前に表示してくれる。それから、目の前にあるある食べ物を、OpenAIのDALL-E3に頼んで画像分析をした上で、例えばカロリーや栄養素などを教えてもらえると言うことになる。知らない建物や植物についても簡単に知れるだろう。
翻訳機能も海外旅行等では便利であろう。フランスに行った時は、英語版がないレストランのメニューではGoogleレンズを使って翻訳をして料理を注文していた。それがこの眼鏡をかけていれば、目の前に翻訳の文字が表示される。といっても、この翻訳機能を使うのは、たまの海外旅行なので実用的な価値はあまりなさそうだ。
最も良く使うと思われるのは、先のPerlexityによるウェブ検索が手を使わずに目の前に表示されると言うのは、かなり便利だろう
値段は度付きでないレンズであれば349ドル、度付きであれば448ドルだそうだ。既に予約が始まっており、出荷は4月15日と言う。Ray-BanSmartGlassやQuest 2よりも、少し高いが、その実用性を考えれば価値はありそうだ。それに、少なくともAppleのVisionProのあの価格と600グラムと言う重さを考えると、Frameの40グラム以下と言うのは実用性が充分ある。
欠点と言うほどのこともないが、Frameには画像分析のためのカメラが付いているが、その画像を保存することはできない。つまりカメラのような使い方ではなく、画像は分析するためだけのものだ。もう一つは、スティーブ・ジョブスのような丸型のフレームで、Ray-BanSmartGlassのようにデザインが選べないことだろうか。
少し気にかかるのは、AIのNoaは、Frameについてきて無料で利用できるが、1日の回数には制限があり、今後は、回数を超えた時の料金設定も決められるようだ。これはChatGPTのように、性能が良く高速で回数を多く使いたい場合には、有料のChaGPT Plusで20ドルということと同じなので仕方がないのかもしれない。問題はその価格であろう。
できれば試してみたいものだが、アメリカで出荷が4月15日ということなので、日本では触れるのは、ずっと先のことだろう。
眼鏡にカメラとマイクを組み込むありふれたアイディアに、AIを使うことで、より実用的になるかがポイントだ。だが、音声認識とAIの技術が進歩しているためにより実用性が高いと思われる。これもGoogle Glassの頃にはなかった技術の進歩によるところだ。しかしながらアイディア自体が画期的なものでないし、同様のものが今後たくさん市場に現れるであろうから、Frameが成功するかどうかは、そのマーケティング力と使い勝手による。