OpenAIが広告ビジネスを検討しているニュースが流れた。長期的には可能性があると思っていたが、このタイミングかと少し驚いた。
OpenAIのCFOが、Financial Timesのインタビューで、同社が新たな収益源として広告モデルを検討していることを明らかにした。この発言は、OpenAIが持続的な成長を遂げるための戦略転換を示唆するものとして、大きなニュースになっている。
確かに、ChatGPTをはじめとする生成AIサービスは、巨額の開発・運用コストが課題となっているために、広告に収入源を求めるのは、ネットサービスの定石だ。
OpenAIは現在、有料版のChatGPT PlusやAPIの提供を通じて収益を上げているが、年間50億ドルを超えると言われる開発・運用コストを賄うには十分ではないようだ。サーバーの維持費や優秀な人材の確保には莫大な費用がかかり、さらなる事業拡大には新たな収益源の確保が急務となっているのだろう。有料版の値上げもあるようだが、それだけでは追いつかないだろう。
CFOの発言によると、OpenAIは広告の導入時期や方法について慎重に検討を進めているとのことだ。だが、InstagramやX(旧Twitter)で広告事業を統括してきたような、広告分野に精通した人材が、すでに入社しており、広告ビジネスへの参入を以前より検討していたようだ。
すでに、Perplexity AIは広告ビジネスを開始しているし、GoogleもGeminiの表示に広告の挿入を検討している。OpenAIもこの流れに追随するということなのだろう。
広告導入は、OpenAIに安定的な収益をもたらし、さらなる技術開発やサービス向上に繋がる可能性がある。しかし、利用者の体験や気分を損なうことなく広告を効果的に表示する方法は容易ではない。当然のことながら、ChatGPTの無料版利用者のみに広告が表示されるとは思うが、広告に違和感を感じる人も出るかもしれない。
Perplexity AIの例では、情報源となるドキュメントの横に広告を表示することで、ユーザーエクスペリエンスを維持しながら広告を配信している。OpenAIも同様の方法を採用する可能性があるが、広告と情報源の区別を明確にするなど、ユーザーに混乱を与えないよう配慮する必要があるだろう。
しかし、ChatGPTのシンプルなインターフェースはユーザーから高く評価されており、広告表示によってこの魅力が損なわれる可能性もある。Perplexityのように関連情報を表示はしない仕様なので、シンプルな結果画面に広告を挿入するのは難しい課題だ。
OpenAIは、広告ビジネスへの参入以外にも、APIライセンスの拡大、企業との提携、プレミアムサービスの拡充など、多角的な収益戦略を展開している。これの多様化のための自然な答えが広告だ。
ネットビジネスやメディアの基本的な収入源が広告とは言え、どのような条件で、どのような表示形式を取るのか注目される。