Google が 、iOSではGemini を主力アプリである Google アプリから削除し、ユーザーをスタンドアロンの Gemini アプリに誘導している。Googleアプリで、Geminiを使用しようとすると、Geminiアプリのダウンロードを求められる。
これは、ユーザーをGeminiから遠ざけ、Gemini利用を妨げる可能性のあるマーケティングの失敗ととも思える。GoogleがiOS版のGoogleアプリからだけ、Geminiを削除した理由について、公式な発表はない。考えられる理由は、想像では以下のとおりだ。
App Storeの制約
AppleのApp Storeは、アプリの機能やデザインに関して厳しい審査基準を設けている。GoogleアプリにGeminiを統合することで、App Storeの審査に引っかかる可能性があったかもしれない。Geminiを独立したアプリにすることで、App Storeの審査をクリアしやすくなった可能性はある。
iOSユーザーの特性
iOSユーザーは、Androidユーザーに比べて新しいアプリをダウンロードすることに抵抗がある傾向が調査結果から知られている。Googleは、Geminiを独立したアプリとしてダウンロードを勧めることで、より多くのiOSユーザーにGeminiを試してもらうことを期待したのかもしれまない。
競合アプリの存在
iOSには、ChatGPTやPerplexityなど、すでに多くのAIチャットボットアプリが存在する。Googleは、Geminiをこれらの競合アプリと差別化し認知させるために、独立したアプリとして提供することを選択したのかもしれない。
データ収集
Googleは、Geminiを独立したアプリとして提供することで、ユーザーの利用状況やフィードバックをより詳細に収集したいと考えているのかもしれない。
発表がないので、GoogleがiOS版のGoogleアプリからGeminiを削除した理由は、不明だ。個人的には、この動きがGoogleにとって、マーケティング上の失敗に思えるが、どうなるだろうか。
専用アプリ化のメリット
専用アプリ化のメリットも当然ある。まず、Gemini を Google アプリから分離することで、Gemini に明確なブランドアイデンティティを与えることができる。これにより、Gemini は、Googleの一機能としてではなく、強力な AI アシスタントとして認知させるのに役立つかもしれない。
また、この動きにより、Google は Gemini を ChatGPT、Claude、Perplexity などの他の人気のある AI チャットボットと直接競合させることができる。この正面からの競争は、やはり、ブランドとして強固なアイディンティティを持たせることに繋がる。
別のアプリにすることにより、開発費回収のための、プレミアム機能、サブスクリプション、またはアプリ内購入を通じて収益化を考えているのかもしれない。
では、なぜiOSだけなのかの説明にならない。むしろ、デメリットのほうが大きいように思える。Googleアプリとの分断により、いくつかのリスクを抱えることになる。
アクセシビリティの低下
Gemini を別のアプリに移行すると、利用量が低下する。以前は Google アプリを通じて Gemini にアクセスしていたユーザーは、別のアプリケーションをダウンロードしてインストールする必要がある。この追加の手順は、ユーザーを躊躇させ、全体的な使用量の減少につながるかもしれない。
混乱の可能性
2 つの別個のアプリ、つまり一般的な検索用のアプリと 生成AI 用のアプリが存在することは、一部のユーザーを混乱させる可能性がある。これは、不便さからくる不満や Gemini ブランドに対する否定的な認識につながるかもしれない。
相乗効果や統合機会の損失
Google アプリ内に Gemini を統合することで、他の Google サービスとのシームレスな連携の可能性があった。この相乗効果はスタンドアロンアプリでは失われる可能性があり、クロスプロモーションとユーザーエンゲージメントの可能性が制限される。
こう考えると、分離はあまり得策とも思えない。Googleの意図は、今後、Android版のGeminiのアプリが登場するかどうかで明らかになるだろう。