AIの話題は尽きないが、AIと名画という面白い組み合わせの記事を読んだ。もはや、AIと関係ない領域は存在しないのだろうか。記事によれば、AI技術が、これまでの美術品修復の常識を覆し、驚くべき成果を上げているということだ。
例になっていたのは、レンブラント「夜警」のAIによる復元だ。アムステルダム国立美術館は、AI技術を使った実験を行ったという。「夜警」の失われた縁を復元するため、AIに古い模写やX線写真を用いてレンブラントの筆致を模倣するよう学習させたそうだ。その結果、デジタルによる描画修復によって、1715年に切り取られたキャンバスの縁が見事に復元された。その継ぎ目のなさは、ベテランの美術愛好家でさえ目を凝らしてしまうほどだという。このプロジェクトは、AIが芸術家の「意図」を解釈し、失われた部分を創造的に補完する能力を持っていることを示している。記事では、分からないが、AIで復元した画像を参照しながら、修復師が絵筆を使ったということなのだろうか。
もうひとつは、エドヴァルド・ムンク「叫び」の色彩復元だ。12の主要な美術機関が協力し、AIを使ってムンクの「叫び」の、今では色褪せてしまったオリジナルの色彩をデジタルで再構築したそうだ。1893年当時の絵画がどのように見えたかをプレビューし、「叫びタイムマシン」を使って2093年の色合いを推測できたという。これについては、オリジナルの色彩を元絵に手を加えて再現したのかAIの作った画像でオリジナルを復元しただけなのか。記事ではわからなった。
さらに、MITの研究者は、損傷した絵画にAIが生成したデジタル修復を重ね合わせる方法を開発したそうだ。これにより、15世紀の絵画を数ヶ月ではなく数時間で修復することが可能になったという。
AIによる修復がもたらすのは、芸術的な価値だけではないだろう。市場価値も同様だ。レオナルド・ダ・ヴィンチ「サルバトール・ムンディ」は、専門家による修復後、4億5030万ドルで落札された。今後はAIによる修復で価値が上がる例が増えるだろう。