コーヒーの健康効果

by Shogo

コーヒーの健康効果は、この何年かで一般的になった。かつては、コーヒーは健康に良くないと思っていた。それは、焦げたものはがんの原因になるということからの類推だ。それでも、飲み続けてきた。しかも一日に十杯は飲んでいた。それは、単純に好きだったからだ。それと、疲れた体にカフェインを入れて仕事に立ち向かいたいということもあった。

なぜ好きかというと、子供の頃から、家族がみんな飲んでいたから自然に飲むようになった。殆どの場合はインスタントコーヒーだった。当時の田舎の少年には、レギューラーコーヒーを飲む機会は殆どなかった。だが、今やレギューラーコーヒーをどこでも売っているし、安いコーヒーメーカーも普及したから、逆にインスタントコーヒーを飲むことはなくなった。

NYTにコーヒーの健康効果の記事が出ていた。それによれば、コーヒーと健康の認識が変わったのは2015年の米国食事ガイドラインによってだったそうだ。このガイドラインで、初めて適度なコーヒー摂取が健康的な食事の一部として正式に認められたようだ。そんな古い話ではない、まだ10年だ。

この変化の背景には、詳細な研究があったという。過去の研究では、喫煙など、コーヒーを多く飲む人によく見られる不健康な生活習慣が、コーヒー自体の悪影響として誤って解釈されていた。しかし、研究者たちがこれらの因子を注意深く調べた結果、コーヒーが持つ健康効果が明らかになってきたという。今回のNYTの記事から、新たに知った情報はたくさんあった。

2017年に「British Medical Journal」に掲載されたコーヒー摂取と人間の健康に関する大規模な研究は、コーヒーの悪影響を払拭する決定的な情報となったという。200以上の先行研究を網羅的に分析した結果、ほとんどの場合において、コーヒーは健康への害よりも、むしろ多大な利益と関連していることが判明したという。特に、適度な量のコーヒーを飲む人は、コーヒーを飲まない人と比較して、心血管疾患や、心臓発作、脳卒中を含むあらゆる原因による早死のリスクが低いことが示された。

1. 慢性疾患のリスク低減

専門家は、コーヒーが2型糖尿病、パーキンソン病、肝硬変、肝がん、慢性肝疾患といった肝臓関連の疾患に対して、特に強力な保護効果を持つ可能性があると指摘している。例えば、30の研究を対象とした大規模なメタアナリシスによれば、1日約5杯のコーヒーを飲むことで、2型糖尿病のリスクが約30%も減少するという。これは、糖尿病の予防において、コーヒーが有望な役割を果たす可能性を示唆している。

2. 抗酸化作用による細胞保護

コーヒーの健康効果の秘密は、その成分にある。イタリアのカターニア大学のジュゼッペ・グロッソ博士は、コーヒーの潜在的な健康効果が、抗酸化作用を持つ植物化合物である「ポリフェノール」に起因すると考えている。ポリフェノールは、体内の細胞を損傷から守る働きがあり、老化や多くの慢性疾患の予防に寄与するとされている。コーヒーは、カフェインだけでなく、クロロゲン酸などのポリフェノール、さらにはビタミンB3、マグネシウム、カリウムといった豊富な化学化合物を含んでおり、これらが複合的に体に良い影響を与えていると考えられている。

3. 健康的な老化と長寿への貢献

最近の研究では、コーヒーが健康的な老化に貢献する可能性も示唆されている。アメリカ栄養学会の年次総会で発表された新しい研究では、1970年代から数十年間にわたって47,000人以上の女性看護師を追跡調査した結果、45歳から60歳の間に比較的多くのカフェイン(主にコーヒーから)を摂取していた女性は、健康的な老化(70歳以上で良好な身体的・精神的健康を保ち、慢性疾患がない状態)の確率が有意に高いことが明らかになった。具体的には、最もカフェインを摂取したグループは、最も摂取しなかったグループと比較して、健康的な老化の確率が13%も高かったと報告されている。これは、カフェインにも健康効果があるという驚きの発表だ。カフェイン自体には健康効果は無いと思っていた。

コーヒーの注意点

多くの健康効果が期待されるコーヒーだが、すべての人に万能というわけではない。摂取方法や体質によっては注意が必要な点もあるようだ。

1. 過剰摂取のリスクとカフェインの代謝

適度な量のコーヒー(1日3〜5杯、またはカフェイン400ミリグラムまで)は推奨されているが、過剰摂取には懸念がある。カフェインは向精神薬であり、適量であれば集中力や運動能力を向上させるが、過剰に摂取すると、震え、神経過敏、不規則な心拍、不眠といったカフェイン中毒の症状を引き起こす可能性がある。

2. 妊娠中のカフェイン摂取

妊娠中のカフェイン摂取については、その安全性がまだ明確には確立されていない。カフェインは胎盤を通過するため、一部の医師は妊婦に1日200ミリグラム以下のカフェイン摂取を推奨している。妊娠中の方は、かかりつけの医師と相談し、適切な摂取量を決定することが重要である。

3. 胃食道逆流症との関連

コーヒーは、胃食道逆流症の症状を悪化させる可能性があると指摘されている。新しい研究では、カフェイン入り飲料を飲む女性において、胸焼けなどの症状のリスクがわずかに増加することが関連していることが判明したのだ。胸焼けの症状がある場合は、コーヒーの摂取量を減らしたり、代わりに水を飲んだりすることで症状が改善される可能性がある。これは、実感している。一時は胸焼けしていたことがある。

4. 淹れ方による影響

コーヒーの淹れ方も健康効果に影響を与えることが分かっているという。特に注意すべきは、フレンチプレス、スカンジナビアコーヒー、ギリシャコーヒー、トルココーヒーといった、ろ過せずに粉が底に沈む「煮沸式」のコーヒーだ。これらには、ジテルペンと呼ばれるカフェストールとカフウェオールという化合物が比較的多く含まれている。これらの化合物は、悪玉コレステロールであるLDLを上昇させ、善玉コレステロールであるHDLをわずかに低下させる可能性があるのだ。

シンガポール国立大学のロブ・ファン・ダム教授は、「コーヒーをろ過すれば、全く問題ない」と述べ、コレステロール値に懸念がある人には、ペーパーフィルターやドリップ式のコーヒーに切り替えることを推奨している。一方で、これらのコレステロール値のわずかな上昇が心血管疾患による死亡増加とは関連していないため、煮沸式コーヒーをすぐにやめる必要はないという意見もある。

この情報は知らなかった。東京ではコーヒーメーカーで紙フィルターを使っているが、ネスプレッソも半分程度は飲んでいるので、これは問題だ。さらに、広島では、すべてフレンチプレスで飲んでいるので、他の方法を考えた方が良さそうだ。

5. 砂糖と脂肪

ブラックコーヒーのカロリーはわずか2カロリー程度であり、それ自体は健康的な飲み物である。しかし、問題はコーヒーに加える「砂糖」や「ミルク、クリーム」などの添加物にある。近年のコーヒー業界の進化とともに、まるでデザートのような甘いコーヒー飲料が数多く登場している。悪名高いフラペチーノだ。これらには、飽和脂肪や砂糖が大量に含まれている。

ワシントン大学のジム・クリーガー博士は、「不健康な脂肪とこれだけの砂糖が含まれた飲み物について話すとき、それは全体的に健康的な飲み物であるはずがない」と警鐘を鳴らしている。特に、10代のコーヒー飲用者が増加傾向にある中で、甘い飲料がその一因となっていることに専門家は懸念をしているという。コーヒーの健康効果は、無糖のブラックコーヒーや、ごく少量のミルクで楽しむということのようだ。

コーヒー豆の多様性と可能性

普段飲んでいるコーヒーは、主にアラビカ種とロブスタ種の2種類から作られているそうだ。アラビカ種はスペシャルティコーヒーによく使われ、ロブスタ種はインスタントコーヒーや一部のエスプレッソに利用されることが多いそうだ。

しかし、コーヒーの木全体である「コフィア」属には、推定124種もの多様な種が存在し、そのほとんどがまだ活用されていないという。しかも、気候変動や病気、森林破壊などの影響により、コフィア属の約60%が絶滅の危機に瀕していると推定されており、多様なコーヒーの風味が永遠に失われる可能性もあるようだ。

記事を読んで、コーヒーの健康効果を信じて、飲み続けようと思う。基本的にはブラックで飲んでいるので問題はないが、豆乳や牛乳をいれることもあるので、できるだけブラックのままにした方が良さそうだ。

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