DAZNが先週、ニュースリリースを出して、親会社のアクセス・インダストリーから43億ドルの資本増強を行ったと発表した。日本での大幅値上げやBTスポーツの買収からの撤退などキャッシュフローに問題があるかと思っていたが、本当だったようだ。
親会社のアクセス・インダストリーのオーナーのレオナルド・ブラバトニックは、2021年末時点で上のDAZNの負債を解消するために、融資の株式転換や新たな出資をおこなったということだ。これで、さらにレオナルド・ブラバトニックの出資比率は高まり、もはや彼の個人会社化したということなのだろう。
DAZNの財務状況は最近は発表されていない。2019年の時点での発表では13億ドルを超える赤字を計上していた。この数字が2021年末にはさらに増えていたと見込まれる。アクセス・インダストリーからの資本増強の43億ドルでそれが解消されているのだろう。あるいは、債務解消以上の余裕があり新たな投資を行う体力がついたのだろうか。
それでも、親会社からは資本増強を行うからには、財務状況の改善を求められていると思われる。それが拡大路線から一転して日本の大幅値上げのように収支均衡に舵を取った理由だと思われる。
先週のニュースリリースでは今後の強化領域として、スポーツベッティング、ゲーミング、NFTを上げている。現在のスポーツ中継に加えてこれらの領域のビジネスを行っていくものと思われる。大きな投資を行って、スポーツ中継の放送権獲得により契約者を拡大してきたが、今後の成長の可能性はそこでは低いと考えたのかもしれない。
もともとDAZNはボクシングなどの格闘技で契約者を増やしてきた。そして最近ではサッカーに注力している。日本のJリーグの独占契約もその中の1つだ。プレミアリーグのイギリスでの放送権の獲得は、BTスポーツ買収から撤退したために叶わなかった。それでもセリエAの放送権を保有しており、最近ではSkyから3年間で18億ドルで、その放送権の分割のオファーを受けたがこれを却下している。サッカーもDAZNの中心のビジネスとして今後も取り組む方針は変わらないようだ。
スポーツ放送権が高騰しているために、黒字からは程遠い状況のようで、だからこそ新しい領域への進出を考えているようだ。もともと、前身のパフォームの時代からベッティングとは関係が深いから、そこで新たなビジネスチャンスを探そうとしているのだろう。