Apple TV+が、来年から10年間に渡り、アメリカのサッカーのプロリーグであるMLS(メジャーリーグサッカー)の配信権を獲得した。この契約により、MLSが開始する新しい配信パッケージが、Apple TV+のアプリから利用が可能になる。さらに、一部の試合はApple TV+の加入者に無料で提供されることになると言う。
今年については、Apple TV+は、金曜日の夜の試合を配信している。それを除いて、今年MLSとの契約を持つのは、DisneyのESPNとESPN+、Fox、スペイン語放送のUnivisionである。これらの契約は、今年までで契約が終了する。来年以降についてはAmazonやWarner Bros. Discoveryなど大手企業10社以上が関心を示しているらしい。
以前は、アメリカでは、あまり人気のなかったサッカーも人気が出てきて、配信サービスでも有力なコンテンツとなっている。Paramount+はイタリアのセリアAの試合を配信しているし、NBCユニバーサルのPeacockはイギリスプレミアリーグを配信している。Peacockはこの契約に25億ドル以上払って契約を更新した。またESPN +はスペインのリーガエスパニョーラとドイツのブンデスリーガを放送している。これに加えて今年までは、ESPN +はMLSを持っていたわけだが、来年以降はこれを失う。
今回発表されたのは、インターネット配信のみでApple TV+との契約だが、MLSとしては放送での契約も進めている。その際にはESPNが有力な候補となるが、ESPN +が配信停止にばったことが影響するのだろうか。サッカーの視聴率が伸びていることから、放送だけでも契約を継続する可能性はあるだろう。
NBCユニバーサルの傘下にあるUSAネットワークが、放送ではイギリスプレミアリーグの放送を行っている。今年のシーズン開始直後の視聴率は2021年に比べて27%増加したと報じられている。このことからも、Apple TV+が配信していても、多くの放送局は引き続き放送するのと思われる。
MLSの配信を含めた放送権収入は年間9,000万ドルであった。今回のAppleの契約だけで、最低でも年間2億5000万ドルになると言う。これから契約をするテレビ放送の放送権料と合わせてMLSとしては大幅な放送権収入の増大となる。この数字は日本のJリーグがDAZNと契約した金額と比べると桁が1桁違っている。
Apple TV+がこれだけ巨額の配信権料を払うのは、単にアメリカ国内の事だけではない。MLSには世界各国の有名選手が参加しており、アメリカ以外でも商品価値が高いからだ。Jリーグも、以前のように、海外の選手をクラブと一緒になって増やし、世界に向けて商品価値を高める努力をしてみてはどうだろうか。今は東南アジアでの放送権販売を行っているが、やはりその国の選手がJリーグに参加してないと人気が出るのは難しい。
それにしても、サッカー不毛の地と言われたアメリカでサッカーに人気が出ていると言うのは、やはり28年前のFIFAワールドカップ・アメリカ大会の効果だろうか。