数日前に、日経に谷口記者の、ワールドラグビーのアラン・ギルピンCEOインタビュー記事が掲載された。同CEOは、ワールドラグビーは、日本でのラグビーワールドカップ再開催を2035年で検討したいと語ったと言う。2027年はオーストラリア、2031年はアメリカ決まっているので、最短では2035年と言うことになる。
過去に何回も立候補して落選している南アフリカの扱いがどうなるのか。南アフリカはもう開催を望んでいないのかわからないが、CEOが語ると言うことは、ワールドラグビーの中である程度の合意があるのだろう。本題からは外れるが、会長も含め、ワールドラグビーの幹部が来日したのは2月初めなので、今になって、このインタビューを記事化したのはどういうわけなのだろうか。単に掲載のタイミングがなかっただけなのか、あるいは神宮外苑前の再開発が東京都によって2月17日に承認された事と関係あるのだろうか。
それはさておき、承認された神宮外苑前の再開発によって、秩父宮ラグビー場が、少し北側に移って、新築されるのが2028年、全ての工事の完了が2033年から2034年ということなので、2035年には間に合う。
秩父宮ラグビー場の建て替えについては反対している人も多い。今のままが良いというのは極端な意見だが、納得できる理由も多い。それは、計画されている新秩父宮ラグビー場が完全密閉型の屋根を持つスタジアムになることと、それに伴い結果的に人工芝のスタジアムになることが理由だ。この意見については、他の前提を考えなければ、個人的には賛成だ。やはり青空の下で天然芝の上でプレーされるラグビーを見たいと思っている。
しかし、開放型と天然芝のために、今の秩父宮を改築することについては反対だ。それは、スタジアムの構造が古く、選手にとっても、観客にとっても、もはや望ましい施設とはなっていないからだ。前職の時代に秩父宮の中を様々な形で利用したが、構造的に制約が多く、改築しても限界がある。選手や観客以外でも、例えば放送1つとっても現在の秩父宮は、放送事業者が利用するような施設の設備施設が整っていない。現在の放送は、デジタル化しており光ファーバーを敷設した施設が必要だ。これを改築で実現することは、コスト的にも合理性がない。さらに、ラグビーの試合を経済的に成り立たせるための、様々な施設、例えばホスピタリティー対応なども全く考えられていないために、改築では無理だろう。さらに、これらを様々な利用者の導線を確保すると言う観点からも改築では不可能だ。
今後のラグビーを考えれば、西の花園と東の秩父宮・熊谷と言うラグビー専用スタジアムのアップデートは必要だ。しかし、その際に完全密閉型の屋根を持つスタジアムが良いかと聞かれれば。それについては否定的だ。しかしながら、ラグビーで使用しない期間の利用方法、維持費などを考えると、所有者の日本スポーツ振興センターが密閉式の屋根を選択する理由もわからないでもない。
新秩父宮ラグビー場は、今の計画では2028年に部分的に完成して使用が開始されるようだ。しかし、南側スタンドは、今の神宮球場の取り壊されて、その工事後に建築されるために、完全な形で新秩父宮が完成するのは、2033年から34年頃と報道されている。つまり2035年にラグビーワールドカップが開催されれば、それには間に合うことになる。
ただし、その際には、新秩父宮のキャパが1万5,000程度ということが問題になるかもしれない。今の秩父宮から10,000人も少ない数となり、2019年大会で例外的に小さかった、仮設スタンドを含む釜石のスタジアムが1万5,000だった。しかも、隣には新国立競技場がある。
だが、ラグビーワールドカップ が 2035年に開催されるのであれば、その大会のレガシーとして新秩父宮で試合を行うと言う事は必須だろう。そのためには、そこで行う、例えば二試合程度のために、大会運営者が経費を負担することになる。それは、放送事業者のための仮設設備や大会ゲスト・ホスピタリティのための追加の投資が必要になるからだ。だが、日本で開催する以上、秩父宮を使わないと言う選択肢は、次回はない。これは必要経費として認められることになるだろうと予想する。
現在の秩父宮がいつまで使えるのか、スケジュールについての報道は無い。想像すると、まず現在の神宮球場の第二球場を取り壊して、そこに新秩父宮ラグビー場を建築し、新秩父宮の南側スタンド以外の部分が完成する2028年に、現在の秩父宮を取り壊すのではないだろうか。そうすると、今の青空の下の秩父宮でのラグビーはあと5年間と言うことになる。
昨日は天気も良かったので、特に予定がないこともあり、授業準備を休んで秩父宮まで家人を誘って出かけた。試合は三菱重工とNEC。一進一退の試合展開だった。最終的には、日本代表だったレメキ選手と尾又選手の連携で、NECが逆転勝ちした。
気温は低いが、太陽が暖かく、青空の下のラグビーはやはり気持ちが良かった。