イーロン・マスクが440億ドルで買収したTwitter社は、新たに設立したX corp.と言うペーパーカンパニーと合併した。これによって、Twitterのブランドやブランドやサービスは残るが、独立した会社としては消滅した。
イーロン・マスクの買収の意図は、中国のテンセントが所有するWeChatと同じようなスーパーアプリを作り上げることだと言う。WeChatは、LINEのようなメッセージングだけではなく、支払いやイベントのチケット予約まで何でもできるアプリだ。Twitterをベースとしたスーパーアプリを作って、最終的には、テスラの車のサービスや、今は存在しないが、テスラの無人自動運転タクシーのサービスと結びつけるつもりなのかもしれない。
本当にイーロン・マスクが、Twitterからスーパーアプリを作ろうとしているのかどうかわからないが、現時点まででイーロン・マスクがTwitterに加えた変更は、表面的なもので、大きな変化は無い。特に日本では今までと変わらない。
目立つものとしては、今までの無料のブルーのチェックマークを有料に変えたことだ。月額8ドルで有料化されることにより、今までの無料のチェックマークを消し始めているそうだ。日本でも有料のブルーノチェックマークが導入され、Web版の月額は980円で、iOS版は1,380円。無料のブルーのチェックマークは消え始めた。
チェックマークについては、青いチェックマークが有料会員で、黄色のチェックマークが企業のアカウント、灰色のチェックマークは政府関係のアカウントと言うことを示している。このサービスも、世界に拡大され、日本では月額13万5,000円。結構高額だ。登録すると、アメリカと同じ色のチェックマークがつくようになった。
もう一つの目に見える変更は、Twitterの特徴であるフォローしているアカウントからのツイートだけが表示される単一のタイムラインが変更されたことだ。TikTokの人気の秘密は、自分のフォローするアカウントとは別にアルゴリズムで選んだツイートがFor Youとして表示されることと言われている。Twitterも、TikTokと同様に、For Youを加えて、2系列のタイムラインに変わっているそうだ。
日本では、For Youの表示はまだない。だが、もしかすると、アルゴリズムのタイムラインは始まっているのかもしれない。私のタイムラインにはフォローした覚えがないような不思議なツイートが表示されることが増えてきた。といっても、Twitterを積極的に使っているわけではなく、研究のためのためにたまに見るだけなので、間違っているかもしれない。
このFor Youのタイムラインで、さらに理解に苦しむのは、有料アカウントのツイートは優先的にFor Youに表示されるようになると言うことらしい。これではスパムのようなツイートが増えてしまう危険性がある。月額利用料を払うだけのアカウントでスパムを広げるような人や企業が増える可能性があるからだ。ユーザーの使い勝手より、収益目的と言われても仕方ない。
それから、表示面で変わったのは、ツイートにreply、retweet、like、view、bookmarkの回数が表示されるようになったことだ。日本では、まだbookmarkの回数の表示は無い。これも今後、アメリカでの変更が日本にも適用されるのだろう。
経営的には大量の社員をレイオフして経費を削減している一方で、収入面ではイーロン・マスクの過激な発言で多くの広告主が広告を引き上げたが、広告主も徐々に戻り始めていると業界誌に書かれていた。特にNikeなどの大手広告主がTwitterで大規模なキャンペンを行っている。新しいTwitterとして騒ぎが沈静化すれば、広告主は徐々に戻ってくるので、大幅に経費が削減されたTwitterとしては収支が均衡に近づくのではないかと思われる。